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栃木県の遊園地で「時給2500円」バイトが見せた驚きの成果とは? 狙いは人手不足解消じゃなかった!

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月29日 6時15分

 プラチナバイトの募集に際して、一部報道では人手不足が挙げられていた。しかし、同パークによると、募集の主目的は意外にも人手不足ではないという。

 「その年や季節によって採用市況などの変化はあるものの、通常アルバイト職については、例年必要人員の確保はできていました。そのため、今回のプラチナバイトでは、社会人として働いている方など、休みを活用したWワーク需要などが旺盛になる中で、園内や付帯事業をこれまで以上に盛り上げてもらえるような特別な人材の確保を目的としました」(パーク関係者)

 採用のきっかけとして優秀な人材の確保が念頭にあったといい、彼・彼女らと継続的なコネクションを持つ狙いもあったようだ。ちなみに那須ハイランドパークが現在募集している通常アルバイトは、時給1200円。プラチナバイトはその倍以上の時給であり、いかに特別な待遇か分かる。

 メリットが大きかったのか、那須ハイランドパークは9月24日に第2弾となるプラチナバイトの募集を発表した(募集期間は通年)。土日祝日を対象としたアルバイトで、時給も2500円だ。

●二重価格ならぬ「二重賃金」は広がるか

 プラチナバイトの募集は、人材発掘だけでなく、宣伝効果にも期待があったと推測できる。

 人材発掘面では、テーマパークは特殊な環境であり、製造業やITのように確たる人材市場があるわけではない。外部エージェントに頼るよりは、相場の2倍で募集をかけ、自社で選別するほうが早いのだろう。宣伝効果については、各社が報道したことからも、その効果は明らかだ。ちょうど盆休み前に報道してもらい、認知度向上につなげる狙いがあったとみられる。正直なところ、筆者もプラチナバイトの報道を通じて同パークを10年ぶりに再認識した。

 このようなプラチナバイトは今後、他所でも募集する可能性がある。日本人と外国人で客の料金を分ける二重価格制が随所でみられるようになったが、賃金に関してはまだまだ各社内の差は小さく、能力給の考え方は定着しきっていない。日本では賃金が年功序列で決まり、アルバイト間の賃金差も小さいのが一般的だ。特にアルバイトの場合、同じ場所で数十円程度の差はあれど、数百円の差が出ることは稀である。

 しかし、人手不足が加速する今後、状況や場面に応じて2倍・3倍の差をつける必要性が強まるはずだ。「Wワーク需要への対応」と同パークが主張しているように、他社で正社員として働く人材を雇う場合、アルバイトでも社員と同等の賃金を支払わないと選ばれる職場とはならない。今後、成果に応じた賃金の二重価格制は、一般的になるかもしれない。

●著者プロフィール:山口伸

経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。

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