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書類でよく見る「シヤチハタ不可」、シヤチハタ社長に「実際どう思ってますか?」と聞いたら意外すぎる答えが返ってきた

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月1日 8時10分

 コロナ禍では各社が出社規制などの措置を講じたことで、押印業務の見直しも進み、シヤチハタのハンコ関連ビジネスは従来比で約1割マイナスとなった。一方、シヤチハタクラウドをコロナ対策として期間限定で無料開放し、広告も積極的に打ったことで、認知が高まり利用数が増加。現在、デジタル関連の売り上げは年間15億円ほどまで成長しているという。

 そんなシヤチハタクラウドで意識している点は、あくまで各社がすでに確立しているビジネスプロセスに逆らわず、戸惑いを生まないようにすること。コンセプトにも「BPS(ビジネスプロセスそのまんま)」を掲げる。

 「デジタル化によって、お客さまが『以前より面倒になった』『戸惑うようになった』となっては、なかなかDXが進みません。従って、シヤチハタクラウドではいかにアナログで円滑に進んでいたものを、そっくりデジタルに置き換えて便利なままにできるか。極論、紙がデジタルになっただけ、といった使い勝手を目指しています」

●「シヤチハタ不可」は大歓迎

 直近ではインボイス対応の特需によって、ハンコ関連商品が一時期と比較して盛り返していると話す舟橋社長だが、入社当時から持ち続けている危機感は今も持ち続けている。

 「こうした一時的な好調のたびに社員は『まだ大丈夫』と思ってしまうものです。しかし、実際はそんな簡単な話ではありません。だからこそ、あえて『脱ハンコ』的な商品やビジネスを、これまで培ったハンコの技術から生み出していきたいと考えています」

 役員級人材の中途採用も強化し始めた。「新たな視点を持ち、商品を開発するにはやはり外部の刺激が必要ですから」と舟橋社長は狙いを話す。また、内部に対しては失敗を恐れないことの重要性を説いているという。

 「私自身、これまで特殊なインキの開発などで大きな失敗をし、損失を生んできました。しかしそれらが最終的に実を結び、今では商品化に至っています。だからこそ、社員には常に新しい視点や挑戦するマインドを持ち仕事に当たってほしいと伝えるようにしています」

 最後に、ちょっと気になっていた質問をぶつけた。世の中には「シヤチハタ不可」としている書類がある。これについてはどう考えているのか。舟橋社長に質問したところ意外にも「こんなに光栄なことはない」と返ってきた。

 不可・禁止ではあるものの、自社の商品が、わざわざ名指しでさまざまな書類に印字してある点が誇らしいのだという。最近では、採用面接を行った高校生が、シヤチハタを詳しく知らなかったことがあったという。ハンコが当たり前ではなくなった時代に、いかに認知度を上げていくかは今後の課題だ。

 次の100年に向けて、いかに「ハンコの会社」から脱却していくか。「判を押したよう」と言われないような、斬新な商品がカギを握っている。

●著者プロフィール:鬼頭勇大

フリーライター・編集者。熱狂的カープファン。ビジネス系書籍編集、健保組合事務職、ビジネス系ウェブメディア副編集長を経て独立。飲食系から働き方、エンタープライズITまでビジネス全般にわたる幅広い領域の取材経験がある。

Xアカウント→@kitoyudacp

note→https://note.com/kitoyudacp

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