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ゲーム「刀剣乱舞」10年目、自治体が「どうか終わらないで」と望むワケ

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月10日 8時10分

 2022年の再展示でも新型コロナウイルス禍の入場制限にかかわらず、2万5000人のファンが足利に詰めかけた。産経新聞の報道によると、展示期間中の経済効果は2回で計約9億円近くに上るという。同市は歴史と文化資源を軸に観光振興を図る観点から、新たな資源として「山姥切国広」を個人所有者から取得しようと動いている。

 これらの事例から、自治体にとって刀剣乱舞は地域活性化の重要なパートナーとなっているといえる。

●自治体が「終わってほしくない」と望むワケ

 自治体が刀剣乱舞の継続を強く望む背景には、明確な経済効果と地域ブランドの向上がある。ゲーム内に登場する刀剣を所蔵する自治体や、その刀剣にゆかりのある地域では、ファンによる「聖地巡礼」が観光の重要な要素となっている。

 特に、高額な投資を行い刀剣を購入した自治体にとって、ゲームの継続は投資の正当性を保つ上で不可欠である。サービスが終了すれば、これらの取り組みが無に帰す可能性があるため、自治体が「終わってほしくない」と強く望むのは当然のことである。

●「やめたくてもやめられない」? 運営側の事情も

 運営元であるDMMとニトロプラスは、当初の想定を超えて10年間の長期運営を続けている。これまでに行われた多くのコラボレーションやイベントは、自治体だけでなく企業やファンとの強固な関係を築いており、簡単にサービスを終了できない状況にある。博報堂らの調査によると、刀剣乱舞の「支出喚起力」は2018年の時点で150億円とされており、その経済的影響力は無視できない。

 ユーザー数はPC版リリースから3カ月で登録者数100万人を突破し、1年後にスマホ版がリリースされた。2023年時点でスマホ版だけでも累計ユーザー数が1000万を突破したと発表している。

 2.5次元ミュージカルも大人気で、舞台刀剣乱舞は初演からの累計観客動員数が2019年時点で100万人を突破し、そのチケットは即日完売が続くほどの人気だ。

 運営にとっても、長期運営に伴うコンテンツの新鮮さの維持や、新規ファン層の開拓など、解決すべき課題も多い。10周年を迎えるにあたって、新キャラクターや新コンテンツの発表が予定されており、こうした打ち手でファン層の維持・拡大を図っている。

 刀剣乱舞は、ゲームの枠を超えて地域振興や文化発信に重要な役割を果たしている。そのコンテンツパワーは経済効果やユーザー数といった定量的なデータからも明らかであり、自治体やファンからの継続要望が強いのも頷ける。

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