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中国の株価指数が暴騰中……企業の「中国離れ」が続くのに、なぜ?

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月29日 6時30分

 海外企業においても、中国離れを選ぶ企業が増えている。米AppleではiPhoneの生産について、中国への依存を減らし、一部インドで行う計画を発表したばかりだ。インテルなどの半導体企業も中国から他国、ないしは米国内での製造を強化している。

 このように、「中国離れ」の動きは国内外の企業を問わず、地政学的リスクやサプライチェーンの多様化を理由に加速している。

 しかし、中国市場がいまだに巨大な内需を抱えていることを見逃すこともできない。グローバルの大手企業が撤退すれば、「抜け駆け」により大きな利益が得られる可能性もちらつく。ではどのように現状の中国市場を考えるべきだろうか。

●中国回帰、リスクは

 高騰を続ける株価市場の動向とは裏腹に、中国の株価急騰について多くの経済専門家は警鐘を鳴らしている。この状況は2008年の「世界金融危機」や2015年の「チャイナショック」と重なる。

 上海総合指数は2008年と2015年に大きな株価の急騰、いわばバブルを経験しているが、足元の株価はいずれの高値も越えられていない。経済の実態以上に株価がついているときに株を買ったり設備投資などに力を入れたりしてしまうと、大きな損失を被ることが懸念される。

 この点について、JPモルガン・プライベートバンクが発表した2024~2025年における中国市場の展望レポートによれば、市場のコンセンサスが中国国内におけるEPS(1株当たり利益)成長率を24年に13%、25年に16%と見込んでいるのに対し、同社は両年とも10%~11%のレンジにとどまると悲観的な予測を公表している。

 2024年、2025年ともに予想より低い成長率が続くこととなれば、現状の中国における株価指数の楽観的な期待と実態に30~50%ほどのギャップがある可能性があり、その分だけ高値掴みのリスクが隠れているといえそうだ。

 「中国回帰」の判断を分けるのは今年の実績をトラックしてからでも遅くないだろう。それと同時に、来年の見通しが過剰に織り込まれているのか否かも確認したほうがよさそうだ。特に企業の戦略策定に当たっては、この株価上昇が直ちに中国経済の復活を示唆するとまでは言いきれないだろう。現状、安易な回帰は推奨されないといえよう。

 「景気は気から」という言葉があるが、株価だけが順調に見える状況は一時的な安心感を演出するにとどまる。そのような環境下では、リスク管理を徹底し、むしろ短期的な波乱や調整に備えた守りを重視する戦略が求められるだろう。

●筆者プロフィール:古田拓也 カンバンクラウドCEO

1級FP技能士・FP技能士センター正会員。中央大学卒業後、フィンテックベンチャーにて証券会社の設立や事業会社向けサービス構築を手がけたのち、2022年4月に広告枠のマーケットプレイスを展開するカンバンクラウド株式会社を設立。CEOとしてビジネスモデル構築や財務等を手がける。Xはこちら

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