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日産を襲う「ゴーン経営の副作用」 利益99.2%減、PBRは0.24倍──“異常値”の背景は

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月27日 6時20分

 そのようなリスクもあり、「日産がこのまま業績を悪化させ、経営を続けていけば純資産が削られていくのではないか」との見方が市場にはあるのだろう。企業の成長力や収益性に対して悲観的な見通しが先行した結果、株価が大きく下落していると考えられる。

●日産とゼネラル・エレクトリックの共通点

 カルロス・ゴーン氏が日産自動車を去ってなお、同社は引き続き多くの困難に直面している。ゴーン氏が在任中に実行した改革は、当時の日産を短期間で劇的に立て直すことに成功した一方で、彼の強権的なリーダーシップが引き起こした問題も少なくない。彼は日産にとって「必要悪」だったのかという問いに対して、彼の退任後に露呈した問題も確認しながら考えていきたい。

 ゴーン氏は、1999年に破綻寸前だった日産を立て直すため、ルノーとの提携を推進し、短期間で劇的な業績改善を成し遂げた。その過程で、工場閉鎖や人員削減、大規模なコスト削減など、非常に強力な改革を行い、日産の経営を黒字化に導いた。これにより、ゴーン氏は自動車業界において「コストカッター」として高い評価を得ることとなった。

 しかしこの手法には、短期的な成果に焦点を当てた過剰なコスト削減や、長期的な成長機会を奪うデメリットが指摘されていた。

 ゴーン氏の経営手法は、かつて「ニュートロン(中性子)・ジャック」と呼ばれたジャック・ウェルチ氏が米ゼネラル・エレクトリック(以下、GE)で行った手法と多くの共通点がある。ウェルチ氏もまた、GEを短期間で再建し、大規模なリストラや資産・事業の売却を通じて、効率的な組織作りを行った。彼の在任中、GEの市場価値は大幅に上昇し、会社は存続したものの、これまでの会社を支えた多くの人材はクビになっていた。これが、ニュートロン・ジャックという異名の由来である。

 中性子爆弾は、建物へのダメージを最小限に抑える代わりに、その中にいる人間の命を奪う核兵器の一種だ。ウェルチ氏は、従業員を犠牲にして建物(会社)を守ったと皮肉を込めてニュートロンの異名を授かった。

 しかし、ウェルチ氏が築いた経営モデルは、彼の退任後に脆弱性が露呈した。2008年のリーマンショック以降、同社は急激に業績が悪化し、最終的にはかつての成長を維持できなかった。ゴーン氏の日産におけるケースと同様、規模なリストラを行う経営は短期的な成功を見せる一方で、年数が経過して大きなリスクとして現れた。

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