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赤字転落のヴィレッジヴァンガード 苦境の原因は「サブカル不調」「人材不足」だけとは言い切れないワケ

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月15日 8時0分

 通常、チェーン店は店舗の賃貸期限や収益状況に合わせた店舗計画を作るものだ。そこで少し極端な提案ではあるが、ヴィレヴァンは「店舗ありき」の人員配置ではなく、「本当にヴィレバンらしい店舗」をつくれる店長・スタッフに合わせた、店舗網の統廃合を進めるべきではないだろうか。世界観を共有するスタッフを研修や教育では養成できないことは、店舗数を急増させた時期に会社として十分学んでいるはずだ。

●イオンモールへの出店は実際どうだったのか

 では、店舗数を急増させた時期に、地方のショッピングモール(主にイオンモール)に大量出店した店舗は、ヴィレヴァンに禍根を残したのだろうか。実際にピーク時である2013年度の地域ごとの店舗配置と、直近期の配置を比較してみた。これはピーク時に比べて生き残った店の割合を示しており、どのエリアで客離れが大きかったかを知ることができる(図表4)。

 もともとの地元エリアである中部の残存率は9割以上と高いのは置いておこう。それ以外で分かるのは、関東、近畿の大都市圏の減少率が高く、北陸、東北、九州といった遠隔地の残存率が高い、という意外な結果だった。

 オールドファンからは「全国のイオンモールに出店したこと自体がヴィレヴァン変質の元凶」との批判もあるが、地方における中高生などのサブカル初心者の開拓には一定の効果があった、という評価もできるのではないだろうか。逆に、そのまま大都市中心で展開していたら、業績はもっと早いタイミングで厳しい局面に追い込まれていたことが想定できる。もっとも、そんなに急拡大しなければいいという意見もあろうが、上場したため後戻りできなかったのだろう。

●ヴィレヴァン苦境の元凶とは?

 ヴィレヴァンの商品別売上構成はコロナ禍以降公表されていないが、2019年においては書籍の構成比が7%、SPICEと称する各種サブカル雑貨が同85%を占めているので、もはや「書店」とはいえないかもしれない。しかし、SPICEはあくまで書籍と出会うための空間づくりに必要な調味料であり、「菊地君の本屋」という異空間が多店舗展開したのがヴィレヴァンである。

 なぜ、こうした構成になったのかといえば、「SPICEで構成した売り場が面白く、集客につながる」のが理由の1つだろう。雑貨が売れることで収益も上がり、ヴィレヴァンの基本の売り場作りとして展開されていくようになった。しかし、最大の理由は、収益構造上、書籍の販売だけでは食えないからである。

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