1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

コストコとイケアはなぜ時給が高いのか? 日本企業の「人手不足」はただの言い訳に過ぎない

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月19日 6時15分

コストコとイケアはなぜ時給が高いのか? 日本企業の「人手不足」はただの言い訳に過ぎない

外資の「高時給」に迫る

 コストコの時給は1500円、イケアは1300円と、外資系のチェーンは日系企業と比較して賃金が高いことで知られている。もちろん働く側にとってメリットは大きいが、最低賃金の低い地方では、周辺の小規模業者が採用難に悩む現象も起きているという。国内小売り大手のイオンでも、時給は最低賃金プラスアルファ程度であり、コストコには程遠い。

 外資系チェーンはなぜ、高時給を出すのだろうか。その理由と、高時給でも運営できる背景を探る。

●正社員とパートで大きな「時給差」がない

 コストコの求人によると、フルタイムの正社員とパートタイマーで両者ともに時給制であり、最低時給はいずれも1500円である。全店舗一律であるため、店舗ごとの初期時給に差はない。

 その他、1000時間ごとに時給が20~64円アップする自動昇給制度を採っており、フルタイム・パートタイム問わず時給は最高で1850円または2000円まで上昇する仕組みだ。コストコ本体ではないが、店舗内で試食や商品PRなどの業務を担うクラブ・デモンストレーション・サービシズ社の採用情報を見ても時給1300~1400円以上の募集が多く、一般的に見て高い水準となっている。

 一方のイケアは、コストコのように明確な時給基準を公開していないものの、ほとんどの求人は時給1300円以上であり、一定の基準になっているとみられる。なお、イケアではパートタイマーを含めた全従業員を正社員としている。同一労働同一賃金の考え方が確立しているスウェーデンにならってのことだという。

●日系チェーンは都内と地方で格差が目立つ

 こうした高い時給は、働き手にとってメリットが大きい。一方で、最低賃金の低い地方では、周辺の採用に影響を与えており、これまで1000円前後の時給で採用してきた企業が採用難になる例もあるという。特に個人経営の飲食店が影響を被っているようだ。

 厚生労働省が公表している最低賃金(2024年度)は、東京で1163円。その他を見ると、宮城・群馬・沖縄の3県はそれぞれ973円・985円・952円である。大手企業は初期の時給を最低賃金プラスアルファ程度で設定しているところが多く、都内のイオンは1200円台が多い。しかし、地方となると最低賃金すれすれで募集をかけるところも多い。例えば、同じイオングループでも、沖縄では900円台後半の時給で募集しているケースも見られる。

 同様に、牛丼大手のすき家も都内では1200~1300円程度で募集する一方、沖縄は1000円未満のスタートで募集している店舗もある。こうして比較すると、平均して1300円や1500円の時給を出す外資系チェーンがかなり特徴的であると分かる。都内の差はそこまで大きくなくとも、外資の時給は全国一律であるため、地方ほど差が顕著になるのだ。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください