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「1冊でも倒れないブックスタンド」10万台突破 開発のきっかけは? 小さな小さなイライラ

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月20日 6時15分

「1冊でも倒れないブックスタンド」10万台突破 開発のきっかけは? 小さな小さなイライラ

10万台を突破した「1冊でも倒れないブックスタンド」

 デスクや本棚で、本を立てようとすると倒れてしまう――。そんな小さなイライラを解消する商品がある。リヒトラブ(大阪市)が2022年10月に発売した「1冊でも倒れないブックスタンド」だ。2024年6月にはシリーズ全体の販売数が10万台を突破するなど評判を呼んでいるが、どんな商品なのか。

 本製品の特徴は、その名の通り「本1冊でも倒れない」ことだ。本体に並ぶ「ストッパー」と呼ばれる三角形のパーツが、それを可能にしている。本を差し込むと、本の厚み分だけストッパーが上がる。両脇のストッパーは斜めにせり出したままのため、それが支えとなり1冊だけでも安定して立つ仕組みだ。

 複数冊を並べて1冊だけ抜き取っても、抜いた部分のストッパーのみが自動で下がることから、残りの本が倒れる心配もない。

 リヒトラブのマーケティング担当の中村あおいさんは「これまでにも、『1冊でも倒れない』というコンセプトの商品は市場に存在していたが、ストッパー構造を採用した商品は他にない」と、その独自性を強調する。

●ピアノの鍵盤がヒントに

 開発のきっかけとなったのは、担当者の子育て経験だった。子どもが絵本を片付けようとすると、絵本が倒れて乱雑になってしまう。この問題を解決するために、月1回の新製品提案会議で案を出したところ、「OK」が出たので開発をスタート。

 試作を重ねるなかで、アイデアを形にするヒントになったのは、ピアノ鍵盤の動きだという。中村さんは「鍵盤をたたくと段差が生じる仕組みと、本の厚みが開発者の頭の中で結びついた」と説明する。

 約1年を要した開発期間の中で、課題のひとつにコストがあった。「これまで市場になかった形状の商品だったので、購入をためらう消費者が多いのではないか」という声があったため、クオリティーを保持しつつ販売価格を下げることに苦心した。

 ストッパーのサイズと数の最適化、部品点数の削減など試作を繰り返したほか、パッケージもカラー印刷からモノクロへ変更するなど、細部にわたってコスト削減を図った。

 当初のパッケージでは1色印刷のダンボールを使用し、商品の特徴や使い方を細かく説明するデザインを採用。さらに、販売店には、1台サービスやサンプル用にダミーの本を提供するなど、店頭で取り扱いやすいように販促面でも工夫した。

●計画比の7倍を販売

 試行錯誤のうえ、ようやく完成。2022年に販売したところ、どのような反響があったのか。SNSで話題が広がったことに加え、「文房具総選挙2023大賞」など複数のアワードを受賞したことで評価も高まり、認知度と人気が上昇。発売から約1年で計画の7倍以上となる4万4800台を販売した。

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