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あずきバー「井村屋」が挑むDX 現場の抵抗があっても、意外とSaaS移行できたワケ

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月11日 7時0分

あずきバー「井村屋」が挑むDX 現場の抵抗があっても、意外とSaaS移行できたワケ

あずきバー「井村屋」が挑むDX

 「あずきバー」で知られる老舗菓子メーカー、井村屋グループ(三重県津市)。創業127年の歴史を持つ同社は今、大胆な変革に挑んでいる。紙と印鑑の文化が根強く残る中、SaaSを積極的に導入し、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進。その先進的な取り組みが注目を集めている。

 「コロナ禍の前からWeb会議システムを導入していました」。同社デジタル戦略室室長の岡田孝平氏は、にこやかに語る。2018年から始まった同社のDX戦略は、コロナ禍での迅速な対応を可能にし、業務効率化と働き方改革を大きく前進させた。伝統の味を守りながら、最新のテクノロジーを駆使する。その意外な組み合わせが、井村屋グループの新たな強みとなっている。

 どのようなSaaSを活用し、変革につなげていったのか。一筋縄で進められたわけではないというが、社内の抵抗にはいかにして対応していったのか。

●老舗企業が「新たな強み」を生み出せた3つの改革

 井村屋グループは1896年に創業。主力製品の「あずきバー」をはじめ、羊羹(かん)や肉まんなど、多彩な商品を展開している。国内の事業拠点に加え、中国、米国、マレーシアにも事業を展開する、グローバル企業でもある。

 そんな老舗企業が、なぜDXに舵を切ったのか。岡田氏は「2020年に経営トップからDXに取り組むという発信があり、プロジェクトが組まれました」と説明する。しかし、その布石は2年前にすでに打たれていた。「2018年に生産性向上プロジェクトが立ち上がり、そこからさまざまなSaaSの導入が始まったんです」

 井村屋グループのDX戦略は、単なる業務のデジタル化にとどまらない。岡田氏は「何か新しいものはないか、生産性を上げるような仕組み、ツールはないかと絶えず探していました」と話す。

 井村屋グループのDX戦略の中核をなすのが、SaaSの積極的な導入と、それに伴う業務プロセスの改革だ。経費精算システムの刷新、ファイルサーバのクラウド化、そして法人カードの導入という3つの施策が、同社の働き方を大きく変えた。

 まず、経費精算システムの改革から見てみよう。

 「以前は紙ベースで経費精算を行っていました」と岡田氏は振り返る。出張の内容や交通費をシステムに入力し、それを紙に出力。さらに領収書を貼付け、上司の承認印をもらう必要があった。「経理部門で現金を用意し、封筒に入れて各部署に配布」という非効率的なプロセスだった。

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