崩れ始める、新卒一括採用 なぜ綻びが生じているのか?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月16日 9時0分
新卒一括採用に綻びが出始めている
10月以降、多くの企業で内定式が開催された。しかし入社までに内定辞退者が発生する可能性もあり、企業はその防止に躍起になっている。
ノースキルの新卒学生を同時期に選考・内定を出し、大量に採用する「新卒一括採用」は日本独特の慣行だが、今では綻びが出始めている。
●新卒一括採用の「綻び」 なぜ?
一つは就活ルールの崩壊だ。政府の指針では3月1日に会社説明会などの広報活動が解禁、6月1日から選考活動解禁がルールとなっているが、2025年卒は売り手市場の中での就活となり、例年になく早期選考、早期内定が続いた。6月1日の採用選考解禁日の内定率は82.4%と、2023年卒より10ポイント近くも上回っている。
就活ルールの崩壊だけではない。期間も長期化している。大学3年生になった直後の4月に夏のインターンシップの募集が始まり、インターンシップに参加することが採用の予備選考となっている。
秋、冬のインターンシップと並行して、その年の11月以降、選考・内定出しが始まり、翌年の4月には選考・内定活動が本格化する。複数の内定を持つ学生も多く、内定辞退が頻発し、企業の採用活動は延々と続くことになる。
リクルートの就職みらい研究所が実施した調査によると、2024年9月1日時点の学生の内定取得数は平均2.63社、内定辞退数も平均1.59社といずれも増加傾向にあり、内定辞退経験者も66.9%と前年より増加している。
内定辞退の背景には言うまでもなく、就活の長期化による早期の囲い込みの弊害や、売り手市場の学生が企業を選ぶ選択肢の拡大がある。
企業は内定辞退の防止や入社までの内定者フォロー策としてさまざまな施策を講じている。例えば、内定者に入社後に必要となる職務の知識やスキルなどの課題を与えて勉強をさせたり、社員向けのe-ラーニングを利用できるようにしたりして入社意欲を高めている。JTBでは2025年3月に希望する内定者にハワイでの文化交流イベントの体験研修を実施。パルコも韓国で2泊3日の内定者旅行を企画している。
学生をつなぎとめるこうした施策は過去にも見られたが、新たな施策が登場している。その1つが希望部署以外の配属を嫌う「配属ガチャ」への対応だ。ニトリホールディングスは内定者アンケートをもとに12月末までに配属先を通知し、事前に必要なスキルを学べるイベントやプログラムを用意する。損害保険ジャパンは今年の内定者から営業など一部の職種について最初の配属先を公募で決める制度を導入する。
この記事に関連するニュース
-
星野リゾート、総スカン「大学1年でも内定」の意義 学生や採用担当者には不評だが隠された意図がある?
東洋経済オンライン / 2024年11月14日 9時20分
-
『【Z世代1,000名の就活動向から学ぶ】採用広報と口コミ対策のポイント』セミナーの開催のお知らせ
Digital PR Platform / 2024年11月13日 10時1分
-
「配属ガチャ」に対応!新卒採用はここまで来た Z世代に多いタイプは「やりたいこと至上主義」
東洋経済オンライン / 2024年10月26日 8時0分
-
「敗者復活」にも人気殺到"令和の就活"に異変 「お祈りメール」の学生救済スカウトも登場
東洋経済オンライン / 2024年10月26日 8時0分
-
「配属ガチャ」による離職防げ 損保J希望募り確約、パナも対策
共同通信 / 2024年10月21日 19時12分
ランキング
-
1保険加入者250万件の個人情報漏えい、金融庁が損保4社に追加の報告徴求命令
読売新聞 / 2024年11月15日 20時41分
-
2「絶滅の危機」をフル活用 くら寿司が回転レーンをパレードする新サービスを打ち出したワケ
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月16日 8時5分
-
3地方中小で“進まぬDX”──伴走する地銀に立ちはだかる「4つの壁」
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月16日 8時0分
-
4報告相次ぐメルカリでの「返品詐欺」、「日本資金決済業協会」への相談は有効なのか...事務局の答えは
J-CASTニュース / 2024年11月15日 20時37分
-
5富士ソフトTOB、KKRが価格を9451円に引き上げ ベイン案上回る
ロイター / 2024年11月15日 20時21分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください