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ユニコーンからデカコーンへ 成長戦略の3つの仮説

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月20日 7時30分

ユニコーンからデカコーンへ 成長戦略の3つの仮説

ユニコーンからデカコーンに向かう成長戦略の仮説とは?

 前回の記事「日本からデカコーンは生まれるか? 有力候補、マネーフォワードとフリーを徹底分析【前編】」では、スタートアップがデカコーンに向かう上で何が必要なのか考察するとともに、事業機会を捉え一気に展開したマネーフォワードについて解説した。

 後編では、フリーの成長戦略と、ユニコーンからデカコーンに向かう成長戦略の仮説を提示したい。

●成長戦略の転換に手間取ったフリー

 フリーは、コロナ禍で中堅企業向けのセールスサイクルが長期化し、新規獲得が鈍化した。IR資料によると、2020年から21年にかけて年率50%程度の成長を遂げたものの、2020年から21年の第1四半期まで中堅企業向けのセールスサイクル長期化と新規獲得の下振れ、コロナ禍の影響について記述があり、当初想定を下回った様子がうかがえる。

 フリーが当時販売していたプロダクトの導入企業は、経費や勤怠といった個別業務のみでの利用を希望しても、会計や人事労務の基幹システム全般を導入する必要があった。軽減税率を含む消費税増税や、緊急事態宣言も重なり、経理担当者の負荷は増加。こうした事情から、フリーのプロダクトの導入を先送りにするケースが増えていったと考えられる。

●新戦略発表もネットワーク効果得られず

 2021年第2四半期時点では、マネーフォワードに対してフリーは、ARRやARR成長率といった成長性の指標が優れ、株式時価総額でも5000億円を超えていた。2021年6月には、それまでのフリーの主要顧客であった小規模企業の経営者を対象に提供価値を広げるとともに、中堅企業向けのプロダクトラインアップ拡充を進める新戦略を発表した。

統合型クラウドERP

 新戦略では「統合型クラウドERP(※1)を提供し、人事や会計など異なる業務間でもデータを緊密に連携させることでリアルタイムの分析を可能にし、経営者の意思決定に役立てられる」という点を訴求した。勤怠管理や固定資産管理、電子契約、法人クレジットカードといった中堅企業向けプロダクトを拡充販売し、コアとなる人事労務や会計の導入につなげる施策をとった。

(※1)Enterprise Resource Planning(エンタープライズ・リソース・プランニング)の略で、システムの文脈で用いる際には、企業内の多様な業務の情報を繋ぎ、管理、分析するためのソフトウェアシステム

オープンプラットフォーム構想

 次にフリーが提供するアプリストアに、決済機能を追加した。これは、新戦略の柱の一つとして挙げられた「オープンプラットフォーム構想」を支える具体策の一つだった。フリーは、小規模企業の多様なニーズに応えるアプリを提供するために、サードパーティの開発者がアプリを掲載できるアプリストアを運営していた。決済機能の追加により、サードパーティのアプリ開発者は自社で決済システムを構築する必要がなくなり、よりスムーズに有料アプリを提供することが可能となった。

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