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「電子レンジバッグ」がまさかのヒット “布自体”が発熱、開発のきっかけは「息子への愛」

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月29日 7時30分

「電子レンジバッグ」がまさかのヒット “布自体”が発熱、開発のきっかけは「息子への愛」

布全体が発熱する

 Makuakeで累計4800万円を超える応援購入金額を集めた「WILLCOOK」という商品があります。「電子レンジバッグ」とも呼ばれるこの商品はバッグ自体があたたかくなる商品で、中に入れたお弁当をあたためたり、レトルト食品を加熱調理したりすることが可能です。

 サコッシュタイプも展開しており、こちらはかばん部分を切り離して広げることで、体をあたためることもできます。

 電子レンジバッグの名が示す通り、加熱すればおよそ10分で100度近くまで上がり、レトルト商品を約20分でおいしく食べられる状態まであたためられます。

 他社でも発熱タイプの商品はありますが、基本的には電熱線で加熱する仕様がほとんどです。一方でこの商品は“布自体”が発熱することに独自性があります。布ヒーターと専用バッテリーをつなぐことで発熱するのですが、導電繊維を独自の技術で編み込んだことにより、布全体があたたかい状態になることを実現しています。

 保温の為に入れている断熱中綿と遮熱効果の高いアルミフィルムの効果で高い保冷力も備えており、保冷目的でも使えるバッグです。

 Makuakeユーザーからは「登山や釣りなどアウトドアで持って行きたい」「災害時の備えとして持っておきたい」「外出先で離乳食をあたためるために使いたい」といった声が寄せられ、1回目のプロジェクト実施時には約1100万円、4回目のプロジェクトでは約2600万円の応援購入金額が集まりました。ニーズ・注目度ともに高まっているといえます。

●開発のきっかけは「母の優しさ」

 この商品を開発したWILLTEXという企業は家電メーカーではなく、少人数で運営している繊維製品メーカーです。

 開発のきっかけは、同社CTOの上田彩花氏の「息子への愛」にありました。野球をしている息子にあたたかい食事を食べさせてあげたいものの、遠征先に弁当を持っていくうちにどうしても冷めてしまいます。こうした悩みに対して、上田氏は繊維業界出身だったため、“繊維自体を発熱させる”という発想に至りました。

 開発にあたって素材を探しているうち、三機コンシスという空調工事会社が開発した布に出会います。繊維自体が発熱するというその布は、通常の布と同じ柔軟性・軽量性を持ちながら、素早く均一なあたたかさを実現する、特許技術を取得した素材でした。この布素材を採用し、WILLCOOKが生まれました。

 WILLCOOKの躍進は、繊維のプロだからこそ生まれた独自の視点と、母という「N=1」の体験が結びついた好例といえるでしょう。自分たちの企業が持っている技術力を、ごく個人的な実体験と掛け合わせることは、思わぬイノベーションを起こすヒントになるかもしれません。

●著者プロフィール:高野翔一

株式会社マクアケ PR部コーポレート広報

1984年生まれ。大手食品メーカーの営業やPR会社などを経験。PR会社では大手テーマパークをはじめ、さまざまな領域のPRを担当。2022年に株式会社マクアケへ入社。入社後は、コーポレート・サービス広報として携わりつつ、モノづくりを始めとした事業者の挑戦を後押しする広報を主に担当。

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