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1個40円の「パチパチパニック」売上10倍に 子どもが減っているのに、なぜハジけたの?

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年10月31日 8時30分

 逆に言うと、定番商品として採用されると、安定的な販売が期待できる。実際に、パチパチパニックは参入障壁をクリアすると、リピート購入も多いことから定番商品としての地位を確立していった。

●「エンタメ菓子」としてブランディング

 アトリオン製菓は、パチパチパニックを単なる駄菓子として捉えるのではなく、「エンタメ菓子」としてブランディングしていくことを目指している。食べたときに音が出るという点で競合する菓子は少なく、その独自性を生かす狙いだ。

 「パチパチパニックは口に入れると音がして、しかめ面だった人も笑顔になる。そういうエンターテインメント性を持っている」(高宮氏)

 このエンタメ性を訴求するため、さまざまな取り組みを展開している。テーマソング「パチパチパニック!」を制作したほか、8月8日を「パチパチの日」と制定し、同日にアイドルグループ「SKE48」とコラボするなど、商品の認知度を上げるための活動に注力している。SKE48とのコラボ動画は、SNSに投稿したところ普段の10倍となるインプレッションを獲得したという。

●工場からメーカーに進化。課題は?

 同社は2023年に丸紅の子会社となり、社名をアトリオン製菓に変更しただけでなく、生産を中心とした組織から、マーケティング開発、調達、物流、販売までを担うメーカーへの転換を図った。2024年3月には需要の高まりに対応するため、生産能力を2.5倍に増強し、今後3~5年で売上高20億円を目指している。

 これからの課題は、スーパーマーケットでの売り場を増やすだけでなく、子ども以外にターゲット層を広げていくことだ。

 山下社長も「例えば、育児や家事に疲れたときのリフレッシュや緊張した会議の場でのアイスブレイクなど、さまざまなシーンで楽しんでいただけるとメーカー冥利に尽きる」と、大人向けの活用シーンにも期待を寄せる。

●新市場開拓へ、次なる一手

 新たな展開も模索しており、その一つが海外市場だ。現在、グローバルでの展開を見据えて各国の食品規格に対応できる原料の選定を進めており、見通しが立ちつつあるという。

 山下社長は「パチパチパニックがどのような存在になり得るのか、それぞれの国に合わせた訴求方法を検討していく」と、長期的な視点での展開に意欲を見せる。

 原材料の高騰が連日のように報じられているが、外部環境によほど大きな変化がない限り、値上げは検討していないという。「現在、100円ショップでは3袋100円で購入でき、友人同士で分け合って楽しめる。気軽に楽しめる価格帯を維持することは、商品の重要な価値のひとつと考えている」(山下社長)

 フレーバーについても、ベースとなるグレープ、コーラ、ソーダのほか、新たな味を追加していく可能性も指摘している。

 今後もパチパチパニックを独自性の高いエンタメ菓子としてブランディングを進め、ファン拡大を目指したプロモーションを展開していく予定としている。山下社長も「パチパチパニックを当社を代表する商品として育てていきたい」と意気込む。海外展開も視野に入れ、世界の人々の心もハジけさせられるか。

(カワブチカズキ)

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