痛烈な「ダメ出し」大歓迎! アプリ会員1500万人の口コミは、ドンキをどう変える?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月6日 7時0分
集まった評価やコメントは、月に一度開催するマジボイス実現委員会で精査。マジボイス実現委員会のメンバーは、宮本氏をはじめとするマジボイス推進課や広報、マーケティング、開発、品質管理、デザインなど各部門から集められた30人前後で構成されている。評価の割合や書き込まれたコメントを基に選んだ約10商品を取り上げ、年に約30商品をリニューアルしているそうだ。
7月15日に発売した「抗菌アルミホイル25cm×10m」(141円)も、改良した商品の1つだ。「ホイルは良いが、毎回紙刃がきれいに切れずプチストレス。刃が箱側でなく、蓋側に付いてた方が切れやすいのでは?」とのコメントをきっかけに、改良に着手。箱パッケージを従来の一体刃から別体刃に変更することで切りやすさを向上した他、刃の形状や位置を微調整した。販売数はリニューアル前から1.2倍にアップしたという。
一方、改良が一筋縄ではいかなかった商品が、偏愛めしの1つである「あんだく溺れ天津飯」(430円)だ。2023年11月に発売したところ、「持ち帰る時斜めにならないように注意しないと、隙間からつゆがあふれる。ふたと皿の隙間をラップでふさいで欲しい」とのコメントが。約40種類の容器から餡のあふれづらい容器を新しく選び、今年5月にリニューアルした。
しかし、リニューアル後も「改善されたという容器でも普通に餡はこぼれます」という意見があった。顧客から寄せられる忌憚(きたん)ない声に、商品担当者も一度はくじけそうになっていたというが、再び調整を行い、再々販に至った。マジボイスをきっかけにした改良の様子について、宮本氏は「お客さまの要望を実現させるために、七転八倒しながら対応しています」と話す。
●マジボイスの弱点
マジボイスはサービス開始から想定以上の評価やコメントが集まっているが、これまでキャンペーンはほとんど行っていない。majica実装当初に、認知拡大のため「コメントを書いたらポイントプレゼント」というキャンペーンを2回実施したのみだ。「キャンペーンをやりすぎると、インセンティブ欲しさにとりあえず書くといったような雑な評価やコメントが増えてしまいます。コメントの質を落とさないため、今後もキャンペーンで声を買うようなことはしない考えです」(宮本氏)
マジボイスの課題について、宮本氏は評価やコメントの集まりに偏りがあることを挙げる。購入頻度が高い食品や日用品には評価が多く集まる一方、そこまで購入頻度が高くないアパレルや高価格帯の家電などはまだまだ少ないのが現状だ。アパレルや家電の商品担当者からは「コメントをもっと集めてほしい」と要望されているといい、こうした現状を打開する解決策を考案中だという。
マジボイスの将来像について、宮本氏は何かの購入を検討している時、その商品を調べるツールの1つになりたいと考えている。「商品の評価を調べるとき、多くの人がAmazonのレビューを見ると思います。そこに肩を並べられるよう信頼度を高め、いつかは欲しいものができた時にマジボイスで調べるのが当たり前という状況を作りたいです」(宮本氏)。顧客と現場の声を重視するPPIHが生んだ、口コミサービス「マジボイス」の今後に注目だ。
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