NHK、34年ぶり赤字の原因はどこにある? ネトフリと比べて分かる“いびつ”な構造
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月5日 12時10分
NHKが34年ぶりの赤字に(提供:ゲッティイメージズ)
「ぶっ壊す」と息巻く政党もあるほど、何かと批判のやり玉に上がるのがNHK(日本放送協会)だ。10月、X(旧:Twitter)ではNHKが34年ぶりに赤字になったことについて「一体何にそんなに金がかかっているんだ」と怒りの声を上げる投稿が多数の共感を集めていた。決算が発表されたのは少し前の話だが、今でも根強く声が上がっているようだ。
NHKが発表した2024年3月期決算を調べてみると確かに、6328億円という巨額の受信料収入を得ているにもかかわらず赤字となっているようだ。
この受信料収入は、Netflixのアジア太平洋地域(APAC)の総売り上げよりも大きい金額だ。ちなみにNetflixの料金プランは最安で890円(2024年10月10日時点)であり、NHKの受信料(地上契約・2カ月払額2200円)の方が高い。
なぜこれほど巨額の受信料収入を得ても、赤字になったのか。決算資料を見ながら冷静に分析してみたい。
●136億円赤字のワケ
決算資料によると、NHKの売り上げに相当する事業収入は「その他の収入」203億円を合わせて6531億円であるのに対し、事業支出は6668億円だった。
その結果、利益に相当する「事業収支差金」は136億円の赤字となり、前期比で399億円マイナスとなった。赤字額は、NHKが繰り越してきた資金を取り崩すことで補填(ほてん)するという。
受信料もまた、前期比で396億円のマイナスとなっている点に注目したい。一方で事業支出は34億円の減少にとどまる。つまり、受信料収入が減少したにもかかわらず、コストがほとんど据え置きとなっていたことが赤字の主要因であるといえる。
なかでも、給与と退職手当・厚生費の項目が高額である点に注意したい。NHKの給与総額をみると、2024年3月期で1100億円となっている。これに加えて、退職手当・厚生費が年間443億円程度かかっている。
人件費や退職金、年金などを合計すると年間約1500億円に達し、実に売り上げの4分の1近くが充てられていることになる。
●Netflixよりも売り上げは大きいのに、利益はマイナス
Netflixの業績を2023年の決算資料から確認しよう。同社のAPAC地域における売り上げは37.6億ドル(約5767億円)。該当地域における営業利益は開示されていないが、同社全体の営業利益率が20%前後であることから、おおよそ7.5億ドル(約1144億円)前後とみられる。
この記事に関連するニュース
-
NHK、受信料収入402億円減 過去最大の下げ幅 中間決算
毎日新聞 / 2024年11月19日 20時18分
-
受信料収入、12%減=値下げで過去最大―NHK中間決算
時事通信 / 2024年11月19日 19時40分
-
再燃するNetflixの税問題…韓国税務当局が巨額追徴課税に向けた動き
KOREA WAVE / 2024年11月8日 11時30分
-
ウイルスバスターの「トレンドマイクロ」が配当と自社株買いで「利益100%還元」宣言、 気になる株価と業績予想、進捗は?
Finasee / 2024年11月7日 6時0分
-
「もはやテレビは家にない」沖縄がワースト独走…「NHK受信料」不払いランキング【47都道府県別】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月25日 21時0分
ランキング
-
1クリスマスケーキに異変…『卵』の価格高騰止まらず 夏の猛暑の影響で今後は鳥インフルエンザによる卵不足の恐れも
東海テレビ / 2024年11月21日 21時22分
-
2食用コオロギ会社、破産へ 徳島、消費者の忌避感強く
共同通信 / 2024年11月22日 1時18分
-
3為替相場 22日(日本時間 7時)
共同通信 / 2024年11月22日 7時0分
-
4業績悪化の日産、アメリカでの希望退職に1000人が応募か…世界で9000人削減方針
読売新聞 / 2024年11月21日 22時2分
-
5さすがに価格が安すぎた? 『ニトリ』外食事業をわずか3年8カ月で撤退の原因を担当者に直撃「さまざまな取り組みを実施しましたが…」
集英社オンライン / 2024年11月21日 16時49分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください