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NHK、34年ぶり赤字の原因はどこにある? ネトフリと比べて分かる“いびつ”な構造

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月5日 12時10分

 Netflixは同地域に約1500人の従業員を有しており、APAC地域における人件費は1億3200万ドル(約198億円)と見積もれる。

 同社の人件費は1人当たり1000万円を超え、高額にも思われるが、売上高に占める割合は3.4%と小さい。一方、売り上げの4分の1が人件費などに充てられているNHKは1万268人の職員を抱えており、Netflixの約7倍多い。

 もしNetflixの売上高における人件費率がNHKと同じ25%になったら、APAC地域における利益は261億円の赤字になる。

 もっとも、NetflixとNHKとではビジネスモデルが違うため、単純比較はできない。しかし、仮にNHKの赤字が今後も進行していくならば、そもそもNHKのビジネスモデル自体が破綻していると言えないだろうか。

●人口減・契約拒否で苦境

 NHKの受信料収入は、テレビを所有する世帯から強制的に徴収する制度に依存しているが、人口減少や契約を拒否する人の増加により、安定的な収入の維持が厳しくなっている。

 また、NHKの収益構造はこの受信料収入に大きく依存している。多様な収益源を確保できていないことも課題だ。

 そして収益の多くは先述した人件費のほか、国内の放送網維持やビルなどの設備投資(2023年度は国内放送費4620億円、設備投資740億円)に充てられ、グローバルでの収益源となりうる国際放送費には約200億円しか投じられていない。

 デジタルコンテンツやインターネットサービスは差別化が難しくなってきている。国際市場での成長や多角的な収益確保に向けて十分な投資を行えているのか疑問だ。

 ではNHKの活路はどこにあるのか、英国の公共放送、BBCのビジネスモデルと比較して考えてみたい。

●NHKと対照的なBBC

 厳しい状況のNHKと対照的なのがBBCだ。BBCはNHKと同じく、「広告収入」を得ない代わりに、BBC Studiosなどの商業部門で番組の権利を販売するなどして、国際市場からの収益を確保している。

 そして、BBCのオンデマンド配信「iPlayer」も英国内で定着しており、デジタル化に対応するとともに多角的な収益構造を持つことに成功している。

 例えば、BBCの人気番組『ドクター・フー』や『シャーロック』は、世界中で視聴される収益源となった。そして、収益以上に重要な観点がもう一つある。

 それは、BBCが自国の国境を超えて人気コンテンツを提供することで、「英国文化の発信」という公共放送の存在意義を果たしているということだ。現状、NHKの国際展開はNHK Worldを通じて行われているが、国際的影響力は限られ、また収益源としての役割も弱い。

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