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危険運転やマナー違反だけではない LUUPが「悪目立ちする」存在になった2つの理由

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月16日 8時0分

 筆者は以前、記事執筆に際し、渋谷周辺のLUUPのポートを100カ所回ったことがある。渋谷周辺をLUUPでぐるぐる回ったところ、渋谷周辺の駅の場合、地下鉄や電車よりも、LUUPの方が早く目的地に着く場合が多いことが分かった。

 地下鉄の場合、直線距離で行けるところが路線の乗換によってあえて遠回りをしていたり、JRや井の頭線、小田急線などが複数乗り入れているために、電車の乗り換えが必要になったりと、渋谷という街のサイズの割に、公共交通機関が多すぎて逆に不便が生じている。そんな都市の中で、LUUPは慣れれば非常に便利に都心を行き来できる乗り物なのだ。

●設置事業者にもニーズがある

 一方、LUUPは設置する事業者にとってもメリットがある。100カ所ポートを回った際、LUUPのポートは「こんなところに!?」と驚くほど小さい、いわゆる「極小ポート」が多く存在するのだ。

 Luupによると、ポートの設置は「自販機2台分のスペース」が望ましいとしている。しかし、実際はもっと小さなポートも多い。不動産オーナーからは、ちょっとした隙間を収益に変えることができるため歓迎されるのだという。

 不動産オーナー向けサイト「楽待新聞」の記事によると、LUUPを設置したことによる表面利回りは、0.05~0.2%増だという。物件によっては微々たるものであるが「入居者満足や物件のステータスへの影響の方が大きいとの見方もある」とのこと。特に都心部の物件の場合、LUUPがあることによって、物件価値が相対的に向上するケースもあるだろう。いずれにしても、不動産オーナーにとっても、LUUPを設置することは悪くはない話なのである。

 このようにユーザー側、設置者側のメリットもあるから、LUUPの数は増えていく。そしてそれが東京中心でメディアに報道され、「悪目立ち」する。LUUP叩きの背景には、このようなカラクリがある。

●「長期的かつ俯瞰的」にLUUPを捉えてみよう

 LUUPが「悪目立ち」する構造的な要因を探ってきたが、これは我々がさまざまなモノを見て、語るときの重要なポイントを教えてくれる。「長期的かつ俯瞰的な視点で物事を捉える」ことの重要性だ。LUUPを批判するにせよ肯定するにせよ、感情論や表面的な報道を見て評価すべきではない。

 これまでも日本において新しいモビリティが普及するときは、こうした「叩かれ」の構造が発生している。例えば、自転車。自転車はもともと、明治時代に外国人たちが持ち込んだ。大阪ではこの新しい乗り物が受け入れられず、明治3年には「道路上での自転車の通行を禁止する法令」が出されたこともあったという。現在の我々からすれば驚くぐらい大袈裟(おおげさ)な受け止めだが、新しいものが普及するときは、こうした反応が常に起こる。

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