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えっ、売上比率はたった「1%」? それでもビールのミニ缶が40年も愛される理由

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月16日 8時40分

 さて、一番搾り缶の中で「1%」しか売れていないのに、なぜ販売を続けるのか問題である。ブランド担当の京谷侑香さんによると「生活の中でちょっと息抜きをしたいときや、お盆時期のお供えものとして購入されることが多いですね。あと、ビールを飲みたいけれど、まだそれほど飲めない若い人たちが手に取る姿もよく目にしますね」とのこと。

 最近では、外国人観光客がお土産として手に取るケースも。考えてみると、海外のビールでミニ缶は珍しいかもしれない。スーパーなどで「なにこれ? ウチの国では売ってないよ。お土産に買って帰ろう」といった外国人が増えているようだ。

 キリン缶生ビールは135mlのほかに、500ml、750ml、1Lを扱っていたといった話をしたが、今後、一番搾りで大きいサイズを販売する予定はないのか。「社内でそのような話は出ていないですね。誰もがたくさんの量を飲むという時代ではなく、いまは『適正飲酒』が求められているので、ひょっとしたら今後はミニ缶が見直されるかもしれません」(京谷さん)

●お客は「選べる楽しさ」を味わえる

 ちょっと話は変わる。アパレルの店内を見渡すと、ひとつのアイテムにたくさんの色を販売していることがある。当然、その中で人気のある色とそうでない色があるわけだが、なぜ苦戦している色を展開しているのか。

 会社によっていろいろな考え方はあるだろうが、マーケティングの教科書を読むと、お客の満足度を高めるために、色のバリエーションを増やしているなどと書かれている。黒もあれば、青もあれば、白もある。たくさんあれば、自分に合った色を見つけやすくなる。そうなると商品の魅力が増し、ブランド価値も向上する。こうした背景があるので、あまり売れていない色でも販売しているのだ。

 ということを考えると、ビールも「1%」しか売れていなくても、お客は「選べる楽しさ」を味わえる。大酒飲みの人にとっては「ミニ缶なんていらないでしょ」と思われるかもしれないが、ビールの楽しみ方は人それぞれ。そんな多様なニーズに応えるために、棚の片隅で“小さな巨人”はちょこんと座ってきた。そして、これからも座り続けそうである。

(土肥義則)

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