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くら寿司の「カバー鮮度くん」開発のきっかけは? 2つの出来事が影響

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月18日 14時32分

くら寿司の「カバー鮮度くん」開発のきっかけは? 2つの出来事が影響

くら寿司の「カバー鮮度くん」開発のきっかけ

 回転寿司チェーン「くら寿司」(大阪府堺市)が特許を持つ「抗菌寿司カバー鮮度くん」が、発明協会主催の「令和6年度 近畿地方発明表彰」において「発明奨励賞」を受賞することが決定した。

 抗菌寿司カバー鮮度くんは、寿司の乾燥を防ぎながら、空中を浮遊するウイルスやほこり、飛沫からも守るプラスチック製の寿司キャップ。

 カバーそのものによる物理的な衛生・品質管理だけでなく、カバー上部に付けたQRタグにより、寿司がレーン上に滞在する時間と、レーン上に寿司を流す適切なタイミングを管理するなど、ICTを活用した衛生・品質管理システムにも寄与している。

●開発のきっかけは

 くら寿司は創業当時、寿司ネタの鮮度を守るために一般的な寿司キャップを使っていた。ただ、当時の寿司キャップは、透明なプラスチック製のカバーを皿に乗せただけのシンプルな作りだったため、ふたを開ける手間や、手で触れることによるカバーの汚れ、キャップがくもって中の商品がよく見えない、ふたを開けたときのにおいが気になるなど、さまざまな問題点があった。

 くら寿司は従来の寿司キャップに加え、1時間ごとに皿に乗せる寿司の並び方を変えることで、従業員がチェックして一定時間経過した商品を取り除くなどの工夫をしていた。そうした中、1997年、皿に貼り付けたQRタグをカメラで読み取り、正確に時間を管理する「時間制限管理システム」が完成したことで、寿司キャップはその役割をいったん終えた。

 抗菌寿司カバー鮮度くん開発のきっかけには、2つの出来事があったという。

 1つは2009年から本格的に開始した海外展開で、米国・ロサンゼルスを始め、衛生管理上、回転寿司では寿司カバーがないと営業許可を取れない国や地域があったこと。もう1つは、食材検査に来た保健所の職員から「食中毒は空気中の菌からの飛沫感染も大きく影響する」というアドバイスがあったこと。

 当時は、ノロウイルスによる感染症が流行っていた時期でもあり、新しい寿司カバーの開発が始まり、約1年半後の2011年に抗菌寿司カバー鮮度くんが誕生した。

  くら寿司の田中邦彦社長は「今や、回転レーンでお寿司を提供しているのは大手チェーンで当社のみとなったが、回転レーンでの提供を可能にしているのは、この寿司カバー。寿司を回して提供すること自体が1つのエンターテインメントとして国内外から支持いただいている中、日本が誇る外食のモデルとして、回転寿司を世界にも発信していければと考えている」とコメントした。

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