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なぜイーロン・マスクはトランプに「近づいた」のか 背後にある“ビジネスの賢さ”

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月22日 7時18分

 さらに環境保護庁はテスラやスペースXに調査を行っており、証券取引委員会(SEC)や連邦取引委員会(FTC)もマスク氏が2022年に買収したX(旧ツイッター)の取引についてまだ調査している。これらもマスク氏のアドバイスによる規制緩和などで不問になるかもしれない。そうなると足かせがなくなり、ビジネスも拡大するはずだ。

 またライバル企業などを蹴落とすこともあり得るかもしれない。トランプ氏は、テレビやインターネットといった通信行政を担う連邦通信委員会(FCC)の委員長に、GAFAのビジネスに対して厳しい姿勢で知られるブレンダン・カー氏の起用を発表している。これはSNS運営やAI開発でGAFAとライバル関係にあるマスク氏にとっては都合のいい人事で、Xにとって有利に働くことになるだろう。

●どうやって懐に入り込んだのか

 ただこういう動きを見ていると不思議に思う。これほど自らにとって都合のいい「政府」の構築に向けて口を挟めるようになったマスク氏は、一体どのようにトランプ氏の懐に入り込んだのだろうか。

 そもそも南アフリカからカナダに引っ越し、米国の大学に入学して社会人になったマスク氏は、仕事に応募してもシャイすぎて、面接でうまく話せないような人物だったという。ところが、そこから世界一の富豪に上り詰め、気難しいトランプ氏の厚い信頼を得るまでになった。

 メディアなどでは、マスク氏が投資家などを口説く際に使っている手法はいくつもあると分析されている。筆者はその中でも、トランプ氏に刺さったポイントがいくつかあると見ている。

 例えば、明確なインスピレーションを与えるビジョンを示すことで、自分と付き合うことに夢を持たせる。自動運転から、ロケット・宇宙開発、火星移住、脳チップまで、遠い未来の技術を着実に実現に近付けている実績も説得力を増す。

 さらに、複雑なアイデアをとにかく簡潔に説明する。しかし、専門知識と信頼性をはっきりと示すことは忘れない。

 加えて、マスク氏はかつてこんなことを言っている。「自己分析を徹底的に行い、粘り強く、ただひたすら努力すること。毎週80~100時間働くこと。これら全てが成功の確率を高める。他の人が週40時間働いている中で自分が週100時間働けば、同じことをしていても、彼らが1年で達成するものを4カ月で達成できる」

 とにかく働き、マルチタスクをする、というのが哲学だという。これについてはトランプ氏と気が合うはずだ。トランプ氏はショートスリーパーで1日4~5時間しか眠らず、朝5時に起きてからはずっと仕事をしており、周囲にはワーカホリックとして知られている。

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