「まるでこたつソックス」がロングセラーに あえて“靴下らしくない”売り方をしたワケ
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月23日 8時20分
まるでこたつソックスのCM
レッグウェアメーカー大手の岡本(大阪市)が2015年から展開する靴下「まるでこたつソックス」シリーズが、ロングセラーとなっている。
まるでこたつソックスはその名の通り、「まるでこたつに入っているかのよう」な温かさをうたう室内向け靴下だ。機能性を強調したシリーズ「靴下サプリ」の一部門として展開しており、希望小売価格は1足1980円から。レッグウォーマーや足首ウォーマーなどの派生商品も販売している。
SNSでも「冷え性の救世主」といった声が上がるなど、保温性で評価されている同商品だが、もう一つ気になる特徴が、そのパッケージデザインだ。
靴下といえば、紙の帯だけが巻かれており、店頭で肌ざわりを直接確かめて選べる……そんな商品が多いのではないだろうか。ところがまるでこたつソックスのパッケージは、サプリメントのようなチャック付きの袋に、商品の写真がプリントされているというもの。
いったいどのような狙いから、このようなデザインで売り出しているのか。「靴下サプリ」ブランドマネージャーの青柳一輝氏に背景を聞いた。
●名称変更でヒット
まるでこたつソックスはもともと、2013年から「三陰交をあたためるソックス」という名称で販売していた。
東洋医学において「冷え改善のツボ」とされる、くるぶしから指4本分上の足つぼ「三陰交」を温める設計を採用。部位ごとに編み方を変える工夫を施しており、三陰交がある足首部分には発熱素材を、その他の部分には保温素材を取り入れた。厚みがあってやわらかく、締め付けの少ない着用感も特徴だという。
当初はシニア層をターゲットに発売したものの、三陰交の認知度がそもそも低かったことから、売り上げは伸び悩んだ。
そこで岡本は、冷え性に悩む女性をターゲットとして、2015年に名前とパッケージを刷新。中身はそのままに「まるでこたつソックス」として売り出したところ、20~30代の女性を中心にSNSで高評価が広がり、プレゼントにも選ばれる人気商品となったのだ。
●靴下というより「あったかグッズ」
岡本の商品は、もともと衣料品ストアや総合スーパーが主な販路だった。しかし、まるでこたつソックスは当初、主にバラエティーショップやECサイトで販売を開始し、順次ドラッグストアなどに拡大していった。1934年創業の老舗メーカーである同社にとって、これは新たな取り組みだったという。
青柳氏は「靴下には『3足で1000円』のようなイメージがあるので、まるでこたつソックスは高価格帯といえます。そこで、バラエティーショップで展開することで『靴下』というより『あったかグッズ』として訴求したいと考えました」と説明する。
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