米司法省がGoogleに「Chrome」売却要求……SEOはこれから「崩壊」するのか?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月27日 8時5分
●SEOへのビジネス投資は必要か?
最後に、SEO不要論について見ていきましょう。結論から述べると、SEOへのビジネス投資は生成AI時代においても引き続き必要です。
確かに、生成AI検索の普及により、従来のSEO作業の一部、例えば見出しタグや構造化データなどのマークアップ関連の重要性は低下する可能性があります。
しかし、現時点では検索ボットによるWebサイトのクロールプロセスに変更はありません。そのため、クロール効率の良いサイト設計や、生成AIに高評価されるような質の高いコンテンツ制作は依然として重要です。
また、各生成AIの評価基準は不透明ですが、Googleが従来重視してきた「バックリンク」「サイテーション(引用・言及)」「E-E-A-T(経験、専門性、権威性、信頼性)」といった指標は、情報の信頼性を測る上で今後も重要な役割を果たすと考えられます。
つまり、SEOの形は変化しても、その本質的な重要性は変わりません。企業は引き続きSEO対策に投資し、変化する検索環境に適応していく必要があります。
●Webマーケティングのこれからについて
ここまで、SEOによるWebマーケティングが崩壊するか否かについて考察してきました。
以上を踏まえると、SEOのビジネスモデルは崩壊せず、今後、形を変えながらマーケティング手法として重要な位置付けを保ち続けると考えられます。
検索エンジンの未来は、テクノロジーの進歩や訴訟問題、政治事情、デバイスとブラウザの関係など、複雑な要因が絡み合って決まっていきます。
大きな潮流としては、従来の「青いリンク集」によるキーワード検索の利用は減少し、Google一強時代も終わりを迎えるでしょう。生成AI時代の到来により多くの企業が参入し、競争が活発化する中で「インターネットの秩序」がより重要性を増していきます。
Googleは長年「良質なインターネット環境の構築」という大きな責任を担ってきました。外部サイトからのリンク(≒推薦)を情報の信頼性の指標としたり、コピーコンテンツの禁止、コンテンツ評価指標E-E-A-Tの重視、ユーザーインタフェースの評価など、さまざまな取り組みを通じてWebの質を向上させてきました。
これらの基準に応えるSEO対策を進めることで、インターネット全体の情報の質が向上してきたといえます。これはGoogleが人類に残した大きな功績の一つといえるでしょう。
私はSEOコンサルタントとして、プラットフォームとWebサイト運営者を結ぶ橋渡しの役割しかできませんが、今後の検索プラットフォームの主要企業には、Googleと同様に「良質なインターネット環境の構築」という使命を持って取り組んでほしいと考えています。
●筆者プロフィール:田中雄太
株式会社デジタルアイデンティティ SEOエヴァンジェリスト、コンサルタント。SEO集客からの売り上げ・問い合わせ増加など、セールスファネル全体のコンサルティングが可能。『薬機法管理者』の資格を有し、表現の規制が厳しい薬機法関連分野のマーケティングにも精通。
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