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大失速の日産「ゴーンの呪い」いまだ抜け出せず? V字回復に向けた急務とは

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月28日 5時45分

大失速の日産「ゴーンの呪い」いまだ抜け出せず? V字回復に向けた急務とは

大規模な人員削減を発表した日産 どこで誤ったのか(出所:ゲッティイメージズ)

 日産自動車が発表した2024年度の中間決算は、衝撃でした。純利益が前年同期比93.5%減の192億円となり、会見で内田誠社長は、世界の生産能力を2割削減し、グループ全社員の7%に相当する9000人の人員削減を実施するとしたのです。今回の決算が、いかに深刻なものかが分かります。日産は何をどこで誤ってしまったのでしょうか。復活に向けて必要なことと合わせて、探ります。

●「好機」だったコロナ禍を生かせなかったツケか

 大幅減益となった最大の理由は、北米における販売不振です。北米市場の連結営業損益として41億円の赤字を計上しました。前年同期は2413億円の黒字を計上し、グループ全体における営業利益の7割超を占める屋台骨だったにもかかわらず、この1年で急激な下降線をたどっています。

 北米ではこの1年、二酸化炭素排出量の削減に向けた次世代自動車のトレンドについて、大きな変動がありました。EV(電気自動車)一辺倒で動いてきた業界の流れに、利用者側からの大きな揺り戻しがあり、一転してHV(ハイブリッド)車の人気が盛り返す事態になったのです。

 理由はいくつかありますが、EV価格の高止まりと補助金制度の打ち切りによって消費者マインドが冷めたこと、さらに充電ステーション整備が進まなかったこと。北米の厳冬によって、1回の充電でEVが走行できる距離が短くなってしまうことなどが、大きく影響したのでしょう。

 日産はカルロス・ゴーンCEO時代から、次世代自動車をEVに決め打ちして突き進んできました。その結果、昨今北米で人気のHVで攻勢をかけられず、大きな打撃を被りました。また、ゴーン時代に掲げた拡大路線の修正計画として、2020年から4カ年の「Nissan NEXT」として生産能力と販売車種の削減を掲げたために、新車刷新の動きが取れなかったことも、大きなマイナス要因として指摘されるところです。

 振り返ればコロナ禍は、半導体不足が深刻化して自動車の供給不足が起こり、軒並み高価格で販売できる好機でした。トヨタやスバルは新車投入やモデルチェンジで積極的な販売戦略を展開し、功を奏しています。同じ状況下にあって日産は、構造改革計画にとらわれていたためにみすみすチャンスを逃し、機動的な新車開発もままならず、新たな人気車種を送り出せなかったのです。

 結果的に、人気車種は不在で不人気車種の在庫ばかりが増加。人気急下降のEVを含めて新車販売が販売奨励金頼りとなってしまい、収益を大きく圧迫しました。このような北米における一連の失策には、経営の戦略的な誤りと機動性の欠如が色濃く漂っているのです。

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