キリン「晴れ風」が500万ケースを突破、新ビールがヒットした3つの理由
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月5日 6時15分
「キリンビール 晴れ風」が人気、理由は?
キリンビール(東京都中野区)が2024年4月に発売した「キリンビール 晴れ風」(以下、晴れ風)が好調だ。17年ぶりに誕生したスタンダードビールの新ブランドで、7月には年間販売目標を300万ケースから550万ケースに上方修正(大びん換算)。12月現在、その9割に相当する500万ケースを突破している。
10月下旬に発売した「歳暮ギフトセット」にも晴れ風がラインアップに加わり、こちらも好調に推移しているという。
なぜ、予想を上回る勢いで売れているのか。開発時にこだわったポイントや同社が分析するヒットの要因、今後の戦略などをマーケティング部ビール類カテゴリー戦略担当の向井優夏氏に聞いた。
●「一番搾り」「ラガービール」に続く人気ブランドを目指して
アルコール飲料は2023年10月に2回目の酒税法改正が行われ、2026年にはビール、発泡酒、新ジャンルの税率が一本化。今後、ビール系飲料の価格差は埋まっていくことが予想されている。
こうした動きを受け、各社の需要獲得競争は活発化。ビール類のカテゴリシフトが起こる可能性もあり、中でも価格面で発泡酒や第3のビールにやや劣勢だった従来のビールに注目が集まっている。
同社は「キリン一番搾り生ビール」(以下、一番搾り)や本場ドイツの味を再現した「キリンラガービール」(以下、ラガービール)に続く人気ビールをつくろうと画策。約1年半の歳月を経て、晴れ風を発売した。
●発売ギリギリまでこだわったポイント
消費者の価値観は時代とともに変化している。例えば、一番搾りを発売した約35年前とは異なるものになっている。晴れ風は今後10年~20年を見据えたときに、長く楽しんでもらえるブランドにしたいと考えたようだ。
企画時には「長く続くブランド」という方針のみが決まっている状況から、ゼロベースでスタート。消費者はどんなビールを求めているのか、一番搾りやラガービールに続くブランドになるために必要なことは何か、などを若手メンバーも中心となって思考した。
「世の中にはおいしいビールがあふれているため、味だけでなくネーミングやパッケージデザイン、CMなど、顧客とのコミュニケーション面も紆余曲折ありながら細部までこだわってつくり込んだ」
開発過程では晴れやかなイメージを体現することも検討しつつ、白を基調にしたパッケージデザインや現代らしい手書き風のロゴなども案に出ていた。事前の顧客調査で「目新しいものや奇抜すぎるものだと逆に手が伸びない、失敗しそうなイメージを抱く」といった声もあり、新しさも取り入れながらキリンビールとしての信頼感がある現在の形に落ち着いたという。
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