部下から「給料を上げてください」と言われたら、上司のあなたはどう返す?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月5日 8時10分
部下に「給料を上げてください」と言われたら(イメージ)
世の中では賃上げの動きが加速している。物価高による生活への影響が深刻化する中、多くの企業が給与水準の引き上げに踏み切った。しかし、そのような環境下でも「給料が安い」という不満の声は尽きない。
実際、大手企業の賃上げ率は30年ぶりの高水準となったが、中小企業では思うように賃上げができない現実もある。また、賃上げを実施しても社員の期待値とのギャップが大きく、満足度が上がらないケースも目立つ。
このような状況の中で、部下から直接「給料を上げてください」と言われたとき、上司はどう対応すべきなのか?
単純に「検討します」と答えるのがベストなのか、あるいは別の返し方があるのか。今回は、「給与が安い」「もっと給料を上げて」と言う部下に対して、上司がどう向き合うべきか解説する。組織マネジメントに携わる人は、ぜひ最後まで読んでもらいたい。
●給与に関する会話は「事実」からはじめよう
「給料が安いので上げてください」
このように言われたら、上司のあなたはどう答えるだろう?
「会社が賃上げしてるじゃないか」
「分かった。会社に掛け合ってみる」
「私だって我慢してるんだ」
いろいろな返し方があるだろう。しかし、どんな問題解決の手順も同じ。まず事実確認から始めるべきである。なぜなら「安い」という表現は比較形容詞であり、具体性に欠けるためだ。
具体的に、いくら程度の給与を希望しているのか。なぜその金額が必要なのか。現在の給与水準と比較して、どのような根拠があるのか。これらの事実を把握することだ。
このように、「安い」「高い」「強い」「弱い」といった言葉では、何を基準に判断しているのかが不明確だ。だから比較形容詞を使った曖昧(あいまい)な表現はできる限り避けたほうがいい。
例えば陸上部のコーチが「もっと速く走れ」と選手に言い続けたらどうだろう?
「もっと速くだ!」
「まだ足りない。もっと速く」
と言われ続けたら選手は疲れ切ってしまうだろう。自分なりに頑張って速く走ろうとしているのに、「もっと」「もっと」といわれると追い詰められていく。
私は営業コンサルタントなので、よく企業経営者から「営業力が弱いので、強くしてほしい」
といわれる。しかし、どの程度弱いのかが分からないし、どこまでいったら強くなるのかもハッキリしない。給与についても同じだ。「安い」といわれてもどれぐらいの金額なら満足なのかが判断できない。
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