欧州最大ホテルチェーンが、テニス「全仏オープン」とタッグを組んだワケ
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月15日 9時8分
日本のおもてなしとアコーのホスピタリティに共通点はあるのかと聞くと「あると思います」と話す。アコーでは社員を、ハートとアーティストを掛けた「ハーティスト」と呼び、同社の接客指針であるハーティストウェイでは、自分が顧客ならどのように接客してほしいのかを考えるのだという。顧客のボディラングゲージを見ながら接客していくのだ。
「例えば、子ども連れのお客さまがチェックインするときに、受付担当とは別のスタッフが子どもの相手をすれば、親が慌てずにゆっくりチェックインできます。ちょっとしたことですが、ストレスの一部を取り除く環境を作りだすのです」
●都心ではテニスの全仏オープンとコラボ
上述のようにアコーは、社員教育も順調に実施し、オープン前の期待通り、地方に客を送り出すことに成功。日本でのビジネスに手応えを感じている。一方、東京など都市部でのビジネスのアプローチは、また違った戦略を取った。都心でのマーケティングの起爆剤となったのが、ローランギャロス(全仏の別名)のジュニア大会が東京で開かれ、プルマン田町東京とコラボすることになったことだ。
同ホテルのロビーやエレベーターを全仏オープン一色にし、アンバサダーを務める錦織圭が宿泊したコラボレーションルームも用意した。「最初に話を聞いたときに面白いなと思いました。4カ月前から準備を始め、実際の搬入作業は大会開催の数日前に実施しました。基本的に先方(FFT)の要望に応えていきますが、最も気を使ったのは、一般のお客さまに迷惑を掛けないようにすることでした」
5つ星のプルマンを使用した理由は、ローランギャロスのイメージに合うと考えたからだ。その他、宴会場などのスペースの関係から選定したという。「2025年にこのジュニア大会を世界各国で開催する時、(世界展開している)プルマンで行う予定です」
日本でコラボイベントを開催するにあたり、アコーのメンバーシッププログラム「ALL」のエリートメンバーがリワードポイントを使用して楽しめる「リミットレスエクスペリエンス」を実施した。この特別パッケージには、プルマン東京田町での1泊、大会アンバサダーである錦織圭とのミート&グリート、スペシャルゲストの松岡修造を迎えた一夜限りのトークセッション、錦織によるテニスクリニック、ジュニア大会のVIPラウンジへのアクセスなどを含み、エリートメンバーにとって特別な体験を提供した。顧客にアコーのファンになってもらい、LTV(顧客生涯価値)向上にもつなげている。
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