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サントリー、10年ぶり“創業家”社長 「大政奉還では?」の問いに「そんな甘いものではない」

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月12日 19時40分

サントリー、10年ぶり“創業家”社長 「大政奉還では?」の問いに「そんな甘いものではない」

新浪剛史社長(左)、鳥井信宏新社長(右)(記者会見にて編集部撮影、以下同)

 サントリーホールディングス(HD)は12月12日、鳥井信宏副社長を新社長とする新たな人事を発表した。2025年3月25日の株主総会をもって就任する。新浪剛史社長は会長となり、佐治信忠会長は取締役会議長を兼任する形で留任。会長は2人体制となる。

●大型買収に手応え

 新浪社長は2014年10月に社長に就任した。以来10年の節目を迎えたこともあり、2年前から「次期社長」と明言してきた鳥井副社長にバトンタッチしたい考えだという。

 新浪社長が就任する直前の2014年5月に、サントリーHDは米蒸留酒大手のビーム社(買収後はビームサントリー)を買収。新浪社長はグループ全体の経営統合を担ってきた。

 2024年5月にビームサントリーの社名からビーム社の看板を外し「サントリーグローバルスピリッツ」に改めたことにも触れ、「大きな買収を乗り切るだけの組織力ができたということだと認識している」とコメント。「グループ全体の売り上げは10年間で2倍超、営業利益は2.5倍に伸ばすことができた」と在任期間の手応えを語る。

●“創業家回帰”をどう見るか

 鳥井副社長は1997年に入社。主力ビール「ザ・プレミアムモルツ」の戦略部長を務めたほか、2022年からはグループ傘下で酒類事業を展開する「サントリー」の社長も務めてきた(今後も兼任)。創業者の鳥井信治郎氏のひ孫に当たり、サントリーHDの社長としては約10年ぶりの創業家出身となる。

 「大政奉還にも見える」との指摘を受けると、新浪社長は「創業家出身は社長になる早道ではあるが、経営はそんな甘いものではない。鳥井新社長はこの2年、酒類事業で着実に業績を上げてきた」と力を込めた。

 一方で「企業理念の支柱にあるのが創業精神であり、ビーム社を統合する上でもこれを植え付ける必要があった。コストや時間のかかる『いい商品』にこだわりを持つ上でも、創業家ならではの価値観が重要だと認識している」とその意義を説明。鳥井副社長も、製造に時間のかかるウイスキーを例に挙げつつ「長いスパンの商売に耐えられる、ぶれない軸を守り続けていけることが、創業家がいるメリットではないか」と述べた。

●新体制での課題は?

 今後の経営課題について鳥井氏は「酒類に関しては売り上げの大半を日本とアメリカに依存しており、ほかの海外エリアへの進出が課題」とコメント。飲料は海外比率が半分を超えている一方、酒類と比較すると現状ではローカルブランドが主体だとして「効率の面でも、世界中で同一のブランドを広げていくことが一番の課題だ」とした。

 国内事業については、グローバル企業としての地位確立を視野に「盤石化と収益向上を圧倒的なものにしていきたい」と意気込む。中でも酒類事業については、いわゆる「若者のお酒離れ」に言及しつつ「コロナ禍でも飲食店を応援するキャンペーンを実施したが、『お酒の文化の火を消さない』ことが一番重要だと考えている」とコメントした。

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