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ローソンストア100「100円おせち」が改称 コスト上昇だけじゃない“値付けの裏側”

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月31日 9時15分

 100円から「価値ある価格」に変えたわけだが、遅かれ早かれ、100円の維持に限界がくるのは、近年の世界情勢や市況環境を見ると、早期に分かっていたことだろう。近藤本部長も前年のインタビューで「次回は150円から100円に戻せればいいのですが、現在の世界情勢では実現は難しいどころか、どちらかというと150円を維持できればいいかなと考えています」とコメントしている。

 前回、100円というアイデンティティーを維持するため、120グラムから85グラムに減量した商品が「御蒲鉾」だ。ただ減量するだけならば「ステルス値上げ」と、消費者から不満の声が上がる可能性が高いと予想し、鯛を混ぜることによって付加価値を付けた。もう一つ理由があって、適量小分けと言いながら、これまでのかまぼこの量が「ちょっと多い」という声があった故の措置だったという。

 ところが客からの反応は予想外のものだった。「実際に販売したところ、御蒲鉾は客の理解を得られず、150円の商品の方が、高い満足度を得られたのです」。財布に優しくしたいという売る側の思いは、消費者からの高い評価を得られなかったのだ。

 「それであれば、今回からは価値ある価格を追求していこうと考えたのです。価値ある価格とは何かといえば、顧客の満足度が第一優先になります。そこに自分たちの『これやりたい』『あれやりたい』を入れるのは、うまくいかないことが分かりましたので」

 100円という縛りがなくなったことによって、商品開発をやりやすくなったと推測できる。

 「価格の幅を広げたとき、今までやれなかった商品を作れるようになります。一方、顧客満足度の観点から言えば、価格にあった味や価値を提供できるかどうかという別の難しさも生まれます」

 近藤本部長は、300円で販売している「酢だこ」を例に、次のように話す。

 「たこの市場価格は非常に上がっています。たこをスライスして売れば薄くなりますから、もう少し安価に販売できます。ですが今回は、あえてブツ切りにすることによって、食感を楽しんでもらうように変えています。実は昔、たこのスライスを販売したのですが、(消費者の)満足度は高くありませんでした」

 このように同じたこの商品を販売する場合、過去の反省を生かし、顧客が満足しそうな方法を模索した結果、300円と最も高い値段になる「ぶつ切りタイプ」を選択したのだ。

●今後は若者を取り込む戦略

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