川崎を走った「トロリーバス」老朽化で解体か? 電車でもバスでもない、謎の乗り物が活躍した過去
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月20日 7時10分
しかし、実際に導入してみると、デコボコな道路やカーブで屋根のポールが外れやすく、乗務員泣かせな乗り物であった。
さて、川崎のトロリーバスは川崎駅前から市電の池上新田を結び、さらに1954年8月には、埋め立て地の水江町まで延伸された。その後、川崎駅前の道路混雑が激しくなると、起点の古川通り(小美屋デパート前)でのUターンが困難となり、1962年からはテニスのラケット状の経路(川崎駅付近が、両回りの循環線)を走るようになった。
このように市中心部と臨海工業地帯を結び、工業都市・川崎の通勤需要を支えたトロリーバスであったが、活躍した期間は短かった。レールがないとはいえ、架線に沿って進まなければならず、渋滞時に小回りが利かないのは市電と同様であり、また、ディーゼルバスの発達により、動力費における優位性もなくなった。
川崎のトロリーバスが廃止されたのは、1967年4月。その車両が1台、今も高津区の二子塚公園という小さな児童公園に保存されている(104号車)。ほか、隣の横浜市へ移籍した車両もあったが(701~704号車)、その横浜市のトロリーバスも、横浜市電とともに1972年3月に廃止され、姿を消した。
※この記事は、森川天喜氏の著書『かながわ鉄道廃線紀行』(神奈川新聞社、2024年)に、編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。なお、文中の内容・肩書などは全て出版当時のものです。
●筆者プロフィール:森川 天喜(もりかわ あき)
旅行・鉄道作家、ジャーナリスト。
現在、神奈川県観光協会理事、鎌倉ペンクラブ会員。旅行、鉄道、ホテル、都市開発など幅広いジャンルの取材記事を雑誌、オンライン問わず寄稿。メディア出演、連載多数。近著に『湘南モノレール50年の軌跡』(2023年5月 神奈川新聞社刊)、『かながわ鉄道廃線紀行』(2024年10月 神奈川新聞社刊)など。
-
- 1
- 2
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
川崎のトロリーバス、解体から一転「保存」の可能性も。全国に“3台だけ”の貴重な鉄道遺産に新たな希望
オールアバウト / 2024年12月19日 18時15分
-
川崎で保存のトロリーバス、老朽化で解体へ 全国に3台「貴重な存在」と惜しむ声 移設構想も条件折り合わず
カナロコ by 神奈川新聞 / 2024年12月12日 20時0分
-
廃止から20年。都会に出現した鉄道廃線「東急東横線」地上線跡の「今」
オールアバウト / 2024年12月7日 18時30分
-
貴重な鉄道遺産に「解体の危惧」、なぜ? 横浜・臨港貨物線の歴史とその痕跡をたどる
オールアバウト / 2024年11月30日 18時30分
-
消えた砂利鉄。1日わずか4往復、終着駅の利用者135人…「西寒川支線」の歴史と廃線跡
オールアバウト / 2024年11月23日 18時30分
ランキング
-
1外環‐成田の最短路「北千葉道路」の計画が一歩前進! “起点JCT”から伸びる区間に動きアリ 今どうなってる?
乗りものニュース / 2024年12月22日 12時12分
-
2年金の「もらい過ぎ」に要注意! 年下の妻が手続きしないと「100万円」以上を還付しないといけない可能性も!? 注意が必要なポイントを解説
ファイナンシャルフィールド / 2024年12月22日 2時20分
-
3「フレッシュネス」チキンに"もも肉"使うプライド クリスマス時期の「チキン難民」を狙う戦略
東洋経済オンライン / 2024年12月22日 9時0分
-
4「ドイツ旅行のコスパ最強ホテル」実は東横INN!? 実際に泊まったら「日本人には最強仕様」…でも違いも?
乗りものニュース / 2024年12月22日 11時12分
-
523日にも協議開始 ホンダ・日産
時事通信 / 2024年12月22日 19時12分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください