なぜ富士通「Uvance」は生まれたのか サステナビリティに注力する強みに迫る
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月31日 9時34分
富士通でユーバンスの事業戦略責任者を担う藤井剛氏
日立製作所が2016年にデジタル技術を活用したソリューション、サービス、テクノロジーである「Lumada」(ルマーダ)を立ち上げて以降、国内大手が似たようなDXブランドを設立する動きが続いている。2024年5月だけでNECの「BluStellar」(ブルーステラ)、三菱電機の「Serendie」(セレンディ)、KDDIの「WAKONX」(ワコンクロス)が立ち上がった。いずれも単なる営業ではなく、顧客の課題解決に主眼を置いているのが特徴だ。
こうした中で、DXだけでなくSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)も打ち出し、着実に拡大してきているのが、富士通が2021年に立ち上げた「Fujitsu Uvance」(富士通ユーバンス。以下、ユーバンス)だ。
ユーバンスは、同社が環境問題に積極的に取り組んでいた背景から生まれた。Uvanceという造語も「あらゆる(Universal)ものをサステナブルな方向に前進(Advance)させる」願いを込めている。
DXブランドが乱立する中、なぜSXを掲げ続けているのか。富士通グローバルソルーションビジネスグループ Strategic Planning本部長でユーバンスの事業戦略責任者を担う藤井剛氏に聞いた。
●ユーバンス誕生の経緯 サステナビリティを打ち出した理由は?
――ユーバンスを立ち上げた経緯は?
当社はもともとIT企業からDX企業への転換を打ち出していました。DXを顧客に提供するため、まずわれわれ自身が変革を実践して、良い実例になるべく「Fujitsu Transformation」こと「フジトラ」を2020年10月から推進してきました。この取り組みはDXやジョブ型の導入など、富士通自体の事業モデルの変革に取り組むという、どちらかというと社内向けの施策でした。
フジトラによって社内のDX自体は進んだのですが、日本社会を見渡してみると「DX後進国」と呼ばれるように、思うように進んでいない現状があります。当社はパーパスに「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」を掲げています。どうしたら日本社会全体のDXを推進していけるのか。持続可能な社会を生み出す上で、当社に何ができるのかを模索していました。
こうした中、2020年に新型コロナウイルスが世界的に流行し、コロナ禍が訪れました。リモートワークなど、一気に働き方などのDXが進みました。
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