「ホンダ+日産=世界3位」素直に喜べない理由は? パワー半導体をめぐる“次の競争”
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月25日 6時20分
ホンダと日産が経営統合、経産省の本当の狙いは?
12月23日、ホンダと日産自動車は、経営統合に向けた協議を正式に開始したと発表した。この経営統合に三菱自動車も合流し、2025年6月をめどに「3社連合」の合意に向けて動き出すという。
「これで世界3位の巨大連合の誕生だ! トヨタと2本柱で日本の自動車の逆襲開始だ!」と期待に胸を膨らませている人も多いだろうが、現実はそんなマンガのようにはうまくいかない。
先月公開した記事『日産9000人削減の衝撃 「技術自慢の会社」ほど戦略で大コケする理由』でも指摘したように、今の日産は海外市場で「値下げをしても車が売れない」深刻な「販売パフォーマンスの低下」に陥っている。ブランド力の低下も顕著である。
これは日産という組織のカルチャーにも起因する根深い問題なので、ホンダと統合をしたところですぐに解決できるものではない。それどころか、「不良債権」を抱え込むわけなので、ホンダとしても成長の足を引っ張られる恐れもある。
国内外の自動車メーカーを数多く取材している自動車ジャーナリストの井上久男氏も、二輪事業の収益で低収益の四輪事業を支えているホンダ側としても、日産救済の「余裕」はないとして、こう指摘している。
『両社が資本提携すれば、共倒れするリスクが高まるのではないか。共倒れは言い過ぎかもしれないが、両社にとって「果実」がある資本提携には結びつかないかもしれない』(JBpress 2024年12月18日)
このように専門家が厳しい目で見る中で、一部マスコミは『ホンダと日産 統合で競争力の強化図れ』(産経新聞 2024年12月19日)などと、まだ協議段階にもかかわらず、お見合いの世話人のように露骨にくっつけようとしている。
●「ホンダ・日産連合」を望む人たち
なぜこんなにも前のめりで「ホンダ・日産連合」をゴリ押ししているのかというと、マスコミがネタ元として重宝している、霞ヶ関の高級官僚たちがそれを望んでいるからだ。
そもそも今回の経営統合の話が始まったきっかけは、台湾の鴻海精密工業(以下、ホンハイ)が日産買収に動いたことにある。
台湾メディアが報じたところでは、かつて日産のナンバー3である副最高執行責任者を務め、現在はホンハイの電気自動車事業の責任者である関潤氏が、ルノーが保有する日産株を取得できないかフランスに渡っているという。
このようにホンハイに呑み込まれそうな動きを察知した日産が、慌ててホンダとの経営統合を進めた。そして、それを陰ながらバックアップしていたのが、経済産業省といわれている。
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