昭和的「日本企業」は人事改革で解体される? 若手社員への配慮と、シニアの活性化が注目される背景
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月26日 5時55分
各社で進む、人事制度改定を探る(出所:ゲッティイメージズ)
2023年ごろから、大手企業で人事制度改定の動きが目立っています。働き方改革の進展と労働者の価値観の多様化、あるいはコロナ禍対応を経た就業スタイルの変化に伴う新しい評価制度への対応――ここ1~2年の間に、多くの企業で今様の働き手の立場を考慮した制度改定を検討する企業が増えているのです。
ここにきて目立っているのが、シニア社員の処遇改善と若手・中堅社員のキャリア自律意識を高める施策の導入です。具体的にどのような施策が動き出し、背景にどのような事情があるのか考えてみます。
●「役職定年の廃止」「報酬維持」の企業が続々
シニア社員向けの施策について、日本経済新聞による2024年のサステナブル総合調査(従業員100人以上の企業830社が回答)によれば、60歳以上のシニア雇用で昇給につながる評価制度を導入している企業が40.5%を占め、人事評価や業績評価を加味した賞与支給に至っては61.3%の企業が「実施している」と回答しています。前年度の同調査との比較では、前者は7.8ポイント、後者も3.9ポイント増えているのです。
この11月に、約20年ぶりという人事制度の改訂を発表した日本ガイシでも、シニア層を対象とした制度改定を盛り込んでいます。具体的には、2025年4月以降、従来は「58歳」だった役職定年制を廃止。同社では職務に応じた年収を「65歳」まで確保する制度も採用しています。
「シニアプロフェッショナル」なる等級も設け、ベテラン社員に専門性を発揮してもらい、事業推進の中核を担わせるという、シニア層への大きな期待感を示す制度となっています。
その他の業界でも、同じような動きが相次ぎました。スズキは4月スタートの新人事制度で、60歳での再雇用後も担当業務や基本給与水準を現役並みに維持することとしました。ヤマハ発動機でも2025年1月からスタートする人事制度で、60歳定年後に再雇用したエキスパート職に対して、本人の選択によって現役と同等の活躍を志せば定年前の報酬水準を維持するコースを新たに設けています。
●レガシー業界も少しずつ変化
さらに驚くのは、人事制度においても人一倍「お堅い」印象が強かった金融業界でも、同じような動きが出ていることです。
銀行ではこれまで、50歳を超えると関連会社や取引先への転籍出向が既定路線とされ、年収が大幅に減るのが当たり前でした。一方、三井住友銀行では2025年度中をめどに新人事制度をスタートさせる予定で、そこでは現状51歳で給与減となる制度を撤廃して50代以降も実績に応じて給与が増える仕組みに改め、60代でも支店長に就けるなど、シニア層の処遇を大幅に見直すとしています。
この記事に関連するニュース
-
キャリアを決めるのは自分か?会社か? いまこそ必要「キャリア自律」...5年後、10年後なりたい自分を想像して(1)/第一生命経済研究所・福澤涼子さん
J-CASTニュース / 2024年12月23日 18時49分
-
月収50万円「エリート国家公務員」60歳・役職定年後に手にする「給与額」に絶句するも、「大企業・元部長の大学同期の惨状」に二度目の絶句
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月22日 8時15分
-
「年金50万円の壁」見直しで高齢社員の立場が激変 役職定年制やシニア社員制度は廃止の方向へ?
東洋経済オンライン / 2024年12月19日 10時30分
-
「67歳選択定年制度」を導入します(ニュースレター)
PR TIMES / 2024年12月13日 11時45分
-
韓国・65歳定年延長、追加費用が年間3兆円超…先行すべきは「賃金体系の改革」
KOREA WAVE / 2024年12月3日 11時30分
ランキング
-
1なぜ百貨店は正月に休むのか 「人手不足」説に隠れた各社の真意
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月27日 8時5分
-
2三菱UFJ銀、不具合「ほぼ解消」=サイバー攻撃が原因
時事通信 / 2024年12月27日 19時3分
-
3「軽自動車を国民車に育て上げられた憧れのおやじさん」スズキ鈴木修氏死去にトヨタ豊田章男会長コメント全文
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年12月27日 19時8分
-
4年金15万円・71歳ひとり暮らしの母「年寄り扱いするな!」と威勢がよかったが…半年ぶりの帰省で目の当たりにした「変わり果てた姿」に43歳息子、絶句
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月27日 8時15分
-
5「ブラックリスト入り」しようが「借金が少額」であろうが…〈自己破産〉をためらう必要がないケース【元キャリア官僚の助言】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月27日 17時15分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください