「イーサリアム保有で年3%」の衝撃 メルコインの“新経済圏”はどこまで広がるのか
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月26日 9時10分
暗号資産でポイントが増える仕組みとは?
暗号資産を持っていると年3%の利息(のようなもの)がポイントとして付く――。こんな一風変わったサービスが始まる。
提供するのはフリマアプリ「メルカリ」の子会社で暗号資産サービスを手掛けるメルコイン(東京都港区)だ。暗号資産の一つであるイーサリアムを保有するだけで、毎月メルカリポイントが自動的に付与される。これまで投機的なイメージが強かった暗号資産に、定期預金のような安定性を持たせる試みとして注目を集めそうだ。
すでに300万口座を突破したメルコインの暗号資産サービスだが、その86%が暗号資産取引が初めてのユーザーだという。「怖い」「怪しい」というイメージが強かった暗号資産を、毎月ポイントがもらえる身近な資産へと変える試みだ。新しい経済圏づくりの挑戦が始まった。
●イーサリアムのステーキングとは
銀行預金や株式の配当なら分かるが、暗号資産において保有額に応じてポイントがもらえるというのはどういうことだろうか。一見すると、メルカリがマーケティングのために持ち出しでポイントを付与しているように思うかもしれないが、それは違う。
イーサリアム特有の仕組みである「ステーキング」が関係している。ステーキングとは、イーサリアムをネットワークに預け入れることで、その運営に参加し、見返りとして報酬を得られる仕組みだ。
イーサリアムは時価総額で世界2位の暗号資産。2022年9月に大規模なシステム更新を実施し、「プルーフ・オブ・ステーク(PoS)」と呼ばれる仕組みに移行した。ビットコインが採用する「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」では、大量の電力消費が環境面での課題となっているが、PoSではそうした問題は生じない。この移行により、イーサリアムの消費電力は99.9%削減されたという。
ただし、ステーキングの仕組みは複雑だ。米国では5月にイーサリアムのETF(上場投資信託)が承認されたものの、制度上の制約からステーキング収益は組み込まれていない。個人が単独でステーキングを行うには32イーサ(約2000万円)以上の保有が必要で、技術的な知識も求められる。
そのため、暗号資産取引所などがユーザーから預かったイーサリアムをステーキングし、手数料を差し引いてユーザーに還元するサービスを提供している。国内大手の取引所では、SBI VCトレードが提供中、bitFlyerも提供予定だとしている。
●保有額に応じたポイント還元
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