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無名だった、スポーツブランド「On」 意外な戦略で人気拡大、箱根駅伝を沸かすか

ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月3日 12時43分

無名だった、スポーツブランド「On」 意外な戦略で人気拡大、箱根駅伝を沸かすか

2010年にスイスで生まれたOn。画像は「Cloudboom Strike LS」

 前回の箱根駅伝は第100回記念大会のため通常より3校多い、23チームが出場。230人のランナーは過去最多となる全10ブランドものシューズを着用していた。

 その中で独自の戦略で箱根駅伝に食い込んできたのが、スイスのスポーツブランド「On」(オン)だ。

 2010年に誕生したオンは「世界で最も成長スピードの速いスポーツブランド」と呼ばれており、日本でも大躍進している。

 近年はタウンシューズとしても人気を集めており、世界特許技術のCloudTec(ソールに搭載された筒状のパーツが収縮することで強い推進力を生む)を搭載したクールなデザインを目にしたことがある人は多いだろう。

 2022年4月に東京・原宿のキャットストリートに世界で2店舗目、アジア初の旗艦店となる「On Tokyo」(オン・トーキョー)をオープンすると、インバウンドの顧客も多く来店。最近は街中だけでなく、ランニングシーンでも目立つ存在になっているのだ。そして前回の箱根駅伝では3人が着用した。

 数年前まで、日本陸上界では「無名」ともいえるブランドだったが、オンは面白いところに目をつけた。

 2023年に「今年、一番強い中距離走者を決める大会」と銘打つ「TWOLAPS MIDDLE DISTANCE CIRCUIT」とパートナーシップ契約を締結。また同大会を運営するTWOLAPSの代表であり、男子800メートル元日本記録保持者・横田真人氏をオン・ジャパンのアスリートストラテジー アドバイザーに迎えたのだ。

●オンの「意外な」目の付け所 どんな戦略を描いていたのか?

 当時、オン・ジャパン共同代表は、こんなことを話していた。

 「駅伝とマラソンに注力しているブランドは非常に多いです。われわれは後発ブランドなので、いまから同じだけやるとしてもリソースの問題もあり、直接戦えない部分があります。でも良い意味で軸をずらした戦い方ができるかなと思ったので、まずはミドルに取り組み、最終的には長距離にも影響を与えたいと考えています」

 「頂上」から攻めたアシックスと比べると、オンの戦略は真逆といえるかもしれない。国内ではやや注目度に欠ける中距離種目をまずは攻めて、日本陸上界で「顔」を売っていく道を選んだのだ。

 その成果は十分にあった。横田氏のプッシュもあり、オンのスパイクやユニフォームを着用する長距離選手が徐々に増えた。国内のトラックレースで「On」のマークを目にする機会が大幅にアップしたのだ。

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