コンサル業務を年間「1万560時間」削減 生成AI活用が変えた組織とは?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月31日 10時11分
コンサル・クラウド事業で生成AIの活用を本格化
経営コンサルティング企業のリンクアンドモチベーション(東京都中央区)は、生成AIの活用を中心としたDX推進を加速させる。12月24日には、コンサルティング専門部隊における従業員1人当たりの売上高が、前年比約140%となったことを発表した。AIと協働することによって業務の効率化と価値創出を促進する狙いだ。
●「生成AI推進チーム」を立ち上げ 年間1万560時間の業務削減
リンクアンドモチベーショングループでは「組織開発Division」「個人開発Division」「マッチングDivision」「ベンチャー・インキュベーション」事業を手掛けている。中でも、人的資本経営の追い風を捉えて「組織開発Division」のコンサル・クラウド事業に注力しているという。AIを活用することによって業務効率を向上させ、従業員の思考時間や価値創出業務への集中を可能にした。その結果、中長期的な企業成長につながる土台を構築したという。
生成AI活用人材は増加していて、業務でAIを1日1回以上活用している人材の割合は96%となった。その結果、従業員1人当たり月40時間、合計で年間1万560時間の業務削減につながったという。
日本企業ではDX推進の流れが加速している。だが短期的なコスト削減に重きが置かれ、中長期的な成果創出や、その実現に向けた具体的なプロセス改善に課題があるのが現状だ。
PwC Japanグループの調査によると、生成AIの活用効果について「期待を大きく上回っている」と回答した人は9%にとどまっていて、米国と比較すると大きな乖離が見られた。そこで同社は、短期的な効率化にとどまらず、中長期的な企業価値向上を目指してプロジェクトを推進している。
具体的には、生成AI推進チームを立ち上げた。コンサルティング専門部隊と協力してAIツールの開発、活用、変革事例創出、ナレッジの蓄積というサイクルを構築している。ツール制作担当と、業務全体を見極める担当を分けて配置することによって、事業への本質的なインパクト創出も目指した。
AIツールを開発する際には、現場での活用を促進できる仕組みづくりに注力している。すでに実施されているコンサルティングプロセスに応じてAIツールを組み込み、誰でも簡単に実行できる仕組みを構築した。生成AIツールの活用時間もモニタリングし、組織全体の生産性向上を目指している。
業務特性に合わせた最適なツールを選定するために、多様なAI技術も活用した。ChatGPTやPerplexity、n8n、Gammaなどを利用。文章生成や情報収集、AIツール開発、資料作成などに役立てている。
社員からは「資料作成や文章チェックなどの業務が効率化され、提案内容を練るための余裕ができた」「業界分析やリサーチ業務が効率化され、顧客との対話準備により多くの時間を注げるようになったことで、顧客満足度向上にもつながっている」といった声が寄せられた。
同社は2025年以降、この取り組みをコンサル・クラウド事業全体、さらにグループ全体に拡大する予定だ。組織人事における知見と生成AIを組み合わせた新たな商品サービスの開発や、自社の取り組みを顧客に展開するなど、さらなる事業インパクトの創出を目指す。
(小松恋、アイティメディア今野大一)
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