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「セブンで375円」高いのになぜ人気? オハヨー乳業「ブリュレ」が前年比2倍の理由

ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月3日 6時15分

●海外からのアクセスも急増し、台湾へ販売拡大

 ブリュレの人気が本格的に高まったのは、SNSでの認知拡大がきっかけだ。2020~21年にかけて、同社はインフルエンサーマーケティングを実施し、「五感で楽しむ」体験価値が拡散を後押しした結果、口コミが広がった。

 さらに、Instagramのフォロワー数が3000万人を超える韓国の人気歌手が自身のYouTubeでブリュレを絶賛したことで、海外での認知も急拡大した。特に台湾や香港、韓国の若者層の間で、訪日時の定番商品となった。

 インバウンド客の中で認知度が高まった結果、観光地にある同商品を扱う店舗では、一般店と比べて20~30倍の売り上げを記録するケースも出てきたという。広がりを受けたことで、同社は多言語POPを制作し、店頭への設置を進めている。

 海外からオハヨー乳業の公式Webサイトへアクセスするケースも増えた。特に、台湾からのアクセス数が前年同期比で120倍以上も伸長した。

 こうした需要の高まりを受け、同社は2024年3月から台湾のセブン-イレブンで販売を開始。テスト販売中のため目標や実績は公開していないが、約6000店舗まで販売網を拡大している。

 今後の海外戦略について、広報担当者は「さまざまな国から問い合わせを受けており、直近ではアジア圏での展開に注力している」と説明する。

●プレミアムアイス市場でのブランド確立を目指す

 アイスクリーム協会によると、国内のアイス市場は2009年から右肩上がりで伸び続けており、2023年度の販売金額は過去最高の6082億円を記録した。

 販売物量は前年比99.2%と微減したものの、付加価値の高い商品の投入により、リッター単価(1リットル当たりのアイスクリームの価格)は前年比110.8%と上昇した。

 この背景には、アイスが「甘く冷たいおやつ」という従来の枠を超え、「ちょっとした贅沢(ぜいたく)」や「ご褒美」として消費者に支持されるようになった変化がある。

 その中で、ブリュレは「五感で楽しめる」という独自の商品設計と特許技術による品質の高さを武器に差別化を図り、この新たな需要を開拓した。高齢化が進む日本でも、若い層の支持を集めており、市場の活性化に貢献している。

 一方で、課題は「国内の生産体制」と広報担当者は語る。まずは安定供給に向けた体制強化を進め、プレミアムアイス市場において、ブリュレシリーズ全体ではなく、ミルク味単品で売り上げナンバーワンのブランドへと育成していく考えだ。

(カワブチカズキ)

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