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とにかく服のシミが取れる「スポッとる」が累計80万個以上のヒット 小売店から門前払い、「3000個の全返品」乗り越えた過去

ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月4日 8時10分

 そこで目をつけたのが、当時まだ黎明期にあったネット通販だった。2008年、自力でWebサイトとショッピングカートを作成。浅川社長は「こんな怪しいサイトでよく買い物してくれたな」と当時を思い出し苦笑いするが、開設から1カ月以内に2個の注文が入ったという。たった2個とはいえ、初めて販売できたときの喜びは今でも忘れられない。

 その後、Yahoo!ショッピングへの出店も果たし、月に10万円程度は売れるようになった。そんな矢先、思わぬところから連絡が入る。以前に断られた大手量販店だった。商談の末、新宿店での実演販売のチャンスを得る。

 だが初日の販売個数はたったの“1個”。しかしその後、実演販売のプロたちから「シミは現場で付けた方がいい」「見せ方をこうした方が効果的」といったアドバイスをもらいながら改良を重ね、最終的には1日200個を売り上げるまでに成長した。

●天国から地獄 「3000個の返品」

 順調に売り上げを伸ばし、Yahoo!ショッピングだけではなく楽天市場への出店もスタート。2013年のプロ野球楽天イーグルス初優勝の際、テレビなどメディアが賑わい出したタイミングで、楽天のトップページの広告を購入。その結果、わずか30分で3000個もの注文が殺到したという。

 しかし、喜びもつかの間。在庫がない中での大量受注に対応するため、急いで容器を取り寄せ液を詰めた商品は、届いた時に液が漏れてしまっており、欠陥品となってしまった。「全品回収です。電話にメールが相次ぎ、ノイローゼになった」と浅川社長は当時を振り返る。

 この失敗以来、品質管理には特別な注意を払うようになった。「容器に詰めた後、紙を敷いて容器を横にして、一日は必ず置いてから出荷しています」(浅川氏)。

●「大切に使ってほしい」環境配慮から決めた価格設定

 価格設定には、単なるコスト計算を超えた思いが込められている。「この商品を使って手に入れられる価値はどのくらいなのか」「今後たくさんの人が使ってくれるようになった際、もし余ってしまって捨てられると、川や海とかを汚すかもしれない」など、使う人の体感価値や環境面を考慮し、価格を設定しているという。

 20ミリリットル1760円、150ミリリットル9900円のスポッとる。同類の商品よりも、あえて高めの価格設定をしたことで「もう少し安くなったらうれしい」というレビューがある一方で、「高いから大切に使います」という声もあり、絶妙なラインを維持しているようだ。

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