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「北海道新幹線、札幌延伸はいつ?」 計画の遅れで自治体はがっかり、企業はやきもき 現地からのリポート

ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月5日 6時30分

●再開発も中途半端な形に

 北海道新幹線の延伸を見据え、終点となる札幌駅では再開発が進む。例えば、1978年に開業し、多くの市民らに親しまれてきた札幌駅隣接の商業施設「エスタ」が2023年8月末に閉店している。ただ、この地に建設予定の再開発ビルは、資材価格や人件費の高騰が影響して完成の延期を検討している状況だ。工費が1000億円を超えることが想定されることから、再開発ビルの高さも低くなる予定である。

 北斗市も新駅周辺の整備を進めてきた。しかし、空きテナントなどもあり、駅前の区画もあまり埋まっていない。背景には新函館北斗駅ではなく、同駅から電車で15~20分程度の函館駅に向かう観光客らが多いとの話もある。

 新函館北斗駅から札幌駅までの沿線自治体も困惑している。新小樽駅(仮称)の開業を予定している小樽市の迫俊哉市長は、5月の定例会見で「北海道新幹線の開業効果は、札幌まで延伸されて初めて享受できる。その効果が発揮されるのが先送りになることは、少なからず各沿線自治体にも影響があるものと思っている。まちづくりの関係もあるため、できるだけ早い時期に開業時期を示してほしいという要望活動を重ねていきたい」などと述べた上で、開業時期に合わせて再開発を進める考えを示した。新小樽駅(仮称)と小樽駅は約4キロ離れており、市は「天神地区交通戦略案」で新しいバス路線を検討するなどの動きがある。

 新八雲駅(仮称)の周辺整備計画では、今後の人口減少なども踏まえて必要な機能をコンパクトに整備、農業に配慮し寄与するという方針だった。計画では現状の約5%となる約4.1万人の観光客増加、新八雲(仮称)~札幌間の定期利用が2倍に増えることを見込んでいた。

 このように、札幌延伸の延期によって、さまざまな影響が及んでいる。一部報道では、2025年1月をめどに札幌延伸開業の新たな目標を設定するために調整が進んでいるとの話もある。ただ本稿執筆時点(2025年1月3日)で、将来の開業時期は明らかになっていない。国交省の有識者会議も議論を続けているが、将来の開業目標は「早急の開業」としているのみだ。札幌延伸開業の延期は、沿線自治体、そして北海道にも大きな影響を及ぼしている。

著者プロフィール

小林英介

1996年北海道滝川市生まれ、札幌市在住。ライター・記者。北海道を中心として、社会問題や企業・団体等の不祥事、交通問題、ビジネスなどについて取材。阪神タイガースをこよなく愛しており、体は酒でできている。「酒はライフラインだ」を合言葉に、道内や東京などで居酒屋めぐりをするのがライフワーク。

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