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「カニよりカニ」と話題! 大ヒット「ほぼカニ」の誕生秘話と神社の謎

ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月12日 6時20分

 「販売当初はそれほど話題になりませんでした。ただ、しばらくしてパッケージの横に書いている文言が注目されたんですよね。それは『※カニではありません』。会社としては、カニと間違えてはいけないので、真剣に考えてその文言を入れたのですが、お客さまは『おもしろいね』と受け止めていただけたようです」

 SNSを見ると「こんなにもカニの形をしておきながら『※カニではありません』って笑笑」「ふざけていると思いつつ食べてみたら、味も食感も『まずいカニよりよほどカニだった』ので『ほぼカニ』の命名に納得」といったコメントが相次ぎました。

 同社は神戸に拠点を置いているので、新商品は関西を中心にじわじわ広がっていくことが多いそうですが、「ほぼカニ」は東京から広がっていきました。SNSのコメントを見ると、首都圏在住の人が盛り上がっていたこともあって、東京を中心に売れていったそうです。

●「ほぼカニ神社」を建立

 そして、発売から10年。本社の敷地内に「ほぼカニ神社」を建立(2024年4月)しました。「ほぼカニ様を祀(まつ)るほぼ聖地」だそうです。

 本社内の体験施設「てっちゃん工房」で、お守りを販売していましたが、お客から「おみくじなどもほしい」という声が多く、10月に御朱印とおみくじを用意しました。

 神社内にカプセルトイの自販機を設置し、お守りとおみくじをセットにして販売(800円)。設置前と比べて、2~3倍のペースで売れているそうです。

 気になるのは、初めて迎える年末年始です。お守りとおみくじは、普段の5~6倍ほど売れたそうです。

 カネテツデリカフーズの本社は神戸の六甲アイランドというところにあって、周囲には工場がたくさん並んでいます。商業施設がたくさんあるわけでもなく、有名な観光スポットもありません。人通りはそれほど多くないところなので、わざわざ神社を訪れる人がいるようです。

 「カニのオブジェがあるので、それを映えスポットにして写真を撮る人もいます。また、『ほぼカニ神社』に集まって、そこからマラソンやツーリングを楽しまれる人もいますね」(徳永さん)

 「ほぼカニ」が順調に売れて、「ほぼカニ神社」も話題になっています。ですが、悩みもあるようです。

 「販売数は伸びていますが、認知度がまだまだでして。お客さまからこのように聞かれることが多いんですよね。『ほぼホタテを販売してくれませんか?』と。以前から『ほぼホタテ』を販売しているので、この言葉を聞くと、ちょっと凹みますね。なんとかしなければいけません」(徳永さん)

 冒頭で紹介したように、ほぼシリーズは累計9300万パック売れていますが、そのうち「ほぼカニ」が7800万パックを占めています。つまり、ほぼシリーズのうち、ほぼほぼ「ほぼカニ」になるので、その偏りはなんとかしたいところ。

 さて、次はどんな「ほぼ」が登場するのでしょうか。アイデア次第で、新たな「ほぼ〇〇神社」が誕生するかもしれません。

(土肥義則)

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