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35万円の「お菓子の城」が完売 明治が重さ110キロの遊園地キットを販売した理由

ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月18日 9時40分

35万円の「お菓子の城」が完売 明治が重さ110キロの遊園地キットを販売した理由

明治が「お菓子でつくるキット」を発売

 バレンタインに向けて明治が発売した「お菓子でつくる大きな大きなお菓子の遊園地キット」が話題を集めている。2024年にも「お菓子でつくるお城キット」(27万2200円)を販売し、Amazon限定の5セットが即日完売した。

 今回は観覧車やジェットコースター、メリーゴーラウンドなどをお菓子で再現。1.8(幅)×1.2(奥行)メートルという規模で、総重量は110キロを超える。価格は35万円。発売日は1月21日だが、1月16日に予約受付が終了した(つまり完売)。

 キットの監修・設計は、前回同様に一級お菓子建築士の小清水圭太氏(ワールドチョコレートマスターズ2026日本代表)が手がけた。前作以上の立体感と色彩を追求しており、観覧車は「マーブルチョコレート」を使って鮮やかに仕上げた。

 ジェットコースターは立体的なコースワークを描きつつ、グミ「ポイフル」で装飾を施し、遊園地内にはグミの木々が立ち並ぶなど、細部まで作り込んでいる。

 「遊園地らしい、ワクワクする彩り豊かな仕立てを目指した」と、同社グローバルカカオ事業本部カカオマーケティング部の杉山詩織さんは語る。

 ジェットコースターは「ミルクチョコレート」のみの設計からスタートしたが、よりカラフルな印象を求めてデコレーションを追加。城壁にも「マーブルチョコレート」を取り入れるなど、装飾にこだわった。

 監修者の小清水氏は「たけのこの里派」を公言しており、遊園地の奥にある城も「たけのこキャッスル」とするなど思い入れを形にした。一方で、園内のどこかに「寄り添い合うキノコの山」が隠されており、遊び心も光る。

●コミュニケーションツールとしての可能性

 企画の背景には「手作りのお菓子を楽しもう」という同社の提案がある。「コロナ禍では、感染防止の観点から友だちと一緒に楽しむ、大人数で手作りを楽しむ経験が希薄になってしまった」と杉山さんは振り返る。アフターコロナでは、お菓子を通じたコミュニケーションを増やしたいという思いを込めた。

 「遊園地」というテーマも、前作の「お城キット」に対する反応が影響している。「子どものころからの夢がかなうような商品」という声が寄せられ、その期待に応えた形だ。開発段階では、ゲームの世界観など別テーマも候補に挙がったが、遊園地は多くの人がワクワクする共通のテーマと判断した。

 装飾を充実させたことで物量は増加したが、梱包方法を見直すことで、納品時の段ボールは昨年の16箱から15箱に減らした。各パーツごとの作り方と必要なお菓子を同封する。

 今回のキットは、パティシエ5~6人が制作しても2日を要するなど、難易度は昨年より高くなっている。そこで、作り方の説明書は前作以上に丁寧な内容とした。同社のXアカウント「チョコレート大作戦」(@chocodaisakusen)でも作り方の公開を予定しており、市販の材料で一部分のみ作ることも可能だという。

 昨年は、人気YouTuberによる制作動画が話題を呼んだが、今年は新たな活用方法も期待している。「バレンタインは卒業シーズンも近いということで、学校などでクラスや部活のメンバーで費用を出し合い、思い出作りとして取り組んでもらえたら」(杉山さん)

 実際に、都立高校の生徒約150人が教室を借り切って制作に挑戦する取り組みも予定されており、その制作過程を公式SNSで公開する予定だ。同社は「来年も驚きやワクワクを届けるバレンタインの提案を続けていきたい」としている。

(カワブチカズキ)

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