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なぜ「お弁当向け冷凍食品」からトレイが消えた? 答えは、担当者の“くるくる巻き”にあった

ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月20日 9時41分

なぜ「お弁当向け冷凍食品」からトレイが消えた? 答えは、担当者の“くるくる巻き”にあった

味の素冷凍食品の 「おべんとPON」、開発秘話がユニーク

 これまでにない新しいスタイルのお弁当向け冷凍食品として、反響を呼んでいる商品がある。味の素冷凍食品が手掛ける「おべんとPON」シリーズだ(参考価格:279円前後)。

 「時短」や「快適さ」といった消費者のニーズに寄り添った商品で、お弁当向け冷凍食品で一般的とされるトレイを使わずに、スティック形状を採用。冷凍庫内でバラバラにならずに収納でき、廃棄時のゴミの体積は同社のトレイ使用品と比較して約85%縮小しているという。

 2024年8月に全5種類を発売し、2025年2月9日には新商品(肉だんご)の投入を予定。具体的な数字は公開していないが、着実に販売量を伸ばしているという。

 おべんとPONシリーズはどのようにして誕生したのだろうか。開発のきっかけや狙いについて、同社リテール事業部の秋葉司博さんに聞いた。

●お弁当づくりの新しいカタチを提案

 おべんとPONシリーズの特徴は、冷凍庫のスキマに「シュッ!」と入れられること。箸を使わずに「ポンッ!」と盛り付けられ、捨てるときは小さく丸めて「ポイッ!」と捨てられる。お弁当づくりの新しいカタチを提案する商品だ。

 同社は新商品の開発にあたって、「キッチンバリューチェーン」の考え方に沿って行動している。「店頭」「台所」「食卓」「地球(環境)」の4つのシーンで消費者の実態を捉え、それぞれの場面で商品力を高めることによって、顧客満足を実現するという独自の考え方だ。

 おべんとPONシリーズについても、商品自体のおいしさに加え、調理前後も消費者にとって価値のある商品をつくりたいといった思いから考案している。

 では、お弁当をつくる人が冷凍食品に求めていることは何だろうか。とある調査によると、お弁当づくりにおいて最も重視するポイントは「時短でつくれる」(50.6%)ことで、「栄養バランス」(43.3%)や「見た目・彩り」(38.0%)を上回る結果だった(複数回答)。

 こうした背景も踏まえ、同社は商品自体のおいしさはもちろん、「時短でつくれること」を重視した。冷凍庫がいっぱいでも迷わずに収納できるか、つくるときに快適か、お弁当に入れて配置しやすいか、などを配慮して開発を進めた。

 開発着手は発売から2年以上前にさかのぼる。その間、上記のニーズを満たす商品開発に加え、環境配慮にも力を入れていた。

 「味の素グループとして廃棄ゼロを掲げている中で、顧客から『トレイがかさばる』という声があった」そうだ。お弁当向け冷凍食品の需要が高まる一方、「冷凍庫収納時のスペース問題」「使用時のトレイ切り離し手間」「廃棄時のトレイゴミのかさばり」といった、お弁当向け冷凍食品に使用している「トレイ」に多数の不満があることが分かった。

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