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子ども服“卒業”後も愛される理由は? ファミリアの雑貨が選ばれる秘密

ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月21日 6時15分

 「コラボ企業とファミリア、双方のファンが興味を持ってくれることで新たな層との接点が生まれている」と佐々木さんは分析する。

●ブランド全体の世界観を統一したデザイン

 大人向けアイテムの需要が増える中でも、ファミリアのものづくりの姿勢は変わらない。創業当初から手作業でのものづくりを継続している点が同社の特徴だ。

 アート作成時はフェルトや毛糸をはさみで切るところから始め、最終的な量産過程でデータ化する。この一貫した手法により、大人向けアイテムにも子ども服で培ったファミリアらしさが表現できているという。

 子ども服のアートを雑貨に転用するなど、ファミリアでは子ども向けも大人向けもデザイン部門を分けていない。大人向け雑貨では、くすみカラーやワンポイントといったシンプルなデザインを増やし、デザイナーが一貫して開発する体制を構築することで、ブランド全体の統一感を保っている。

 「子ども服も大人向けアイテムも統一された世界観でものづくりができており、その点を評価いただいている」(佐々木さん)

 ただし、人気商品の供給には課題もある。コラボ商品は即日完売することも多く、資材や生産面での制約から、どうしても数量に限りが出てしまう。「より多くの方に手に取っていただきたい思いはあるが、物理的な要因で難しい状況」と佐々木さんは語る。

●子どもを軸に、可能性を広げる

 供給面に課題はあるものの、コラボ商品を中心に雑貨の売り上げは好調だ。一方で、主力の子ども服事業は横ばいが続いている。これは、子ども服業界共通の課題でもある子どもの成長に伴うサイズアウトも要因だ。そこで同社では、「卒業されない」ブランドを目指し、顧客との継続的な関係構築に向けた取り組みを進めている。

 その一環として力を入れているのが、産前産後の親子向けサービス「1000days」だ。妊娠から出産後2歳の誕生日までの1000日間を対象に、マタニティセミナーの開催や育児に役立つ情報配信を通じて、早い段階でブランドとの接点を築いている。コロナ禍でも継続して実施し、現在も予約が埋まるほどの人気プログラムとなっている。

 もう一つの取り組みが、大人向け市場への本格参入だ。2024年3月には大阪・ルクア イーレに、全国初のギフトショップを開設。子ども服を置かず、雑貨やギフトアイテムを中心とした売り場を展開している。

 3月末には、広島駅近くに開業する新駅ビル「ミナモア」に2号店を開業する予定だ。サイズアウトで「卒業されない」ブランドを目指し、大人も使えて家族で楽しめるコンテンツの強化を進めている。

 今年で創業75周年を迎える老舗は、「100年企業」に向けて歩みを進める。長年培ってきた子ども服のノウハウを生かしながら、新たな顧客層の開拓にも力を入れる。「当社の強みは子どもという点は変わらないが、ライフスタイル全般に寄り添えるブランドとして、さらに進化していきたい」と佐々木さんは語る。

 子ども向けアイテムを中心に据えながら、時代のニーズに合わせて着実に可能性を広げている。

(カワブチカズキ)

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