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認知症の利用客に、どう対応する? 1万9000人の従業員をサポーターに育てたヨーカ堂の狙い

ITmedia ビジネスオンライン / 2025年2月2日 9時30分

認知症の利用客に、どう対応する? 1万9000人の従業員をサポーターに育てたヨーカ堂の狙い

イトーヨーカ堂の取り組みは(画像はイメージ、提供:ゲッティイメージズ)

 イトーヨーカ堂が、認知症の来店客を想定した施策を強化している。

 2014年に導入したのが、「認知症サポーター養成講座」だ。これは厚生労働省が推進する学習会で、認知症の症状や診断・治療、当事者と接するときの心構えについて学ぶというもの。自治体や企業・職域団体などが実施しており、受講を終えた人は、認知症の人やその家族の「応援者」である「認知症サポーター」に認定される。

 導入後、イトーヨーカドーの店舗ではどのような変化があったのか。広報担当者に、具体的な取り組みを聞いた。

●従業員の不安軽減図る

 イトーヨーカ堂では、認知症が疑われる来店客への対応に、従業員が苦慮する事例が多くあったという。例えば、軽度の症状を持つ人の場合は「小銭の計算ができず、お会計が進まない」「急に出口が分からなくなる」といったケースが見られた。

 こうした困りごとは当事者にとっても外出意欲の喪失、ひいては症状の進行につながりかねない。そこで同社は、「認知症に関する正しい知識を得てもらうことで、従業員の不安を払拭し、来店客に適切な応対を行う」という目的から、認知症サポーター養成講座を導入した。

 同社では、自治体が設置する「地域包括支援センター」(高齢者向けの総合相談窓口)と連携して講座を開催。これまでに全従業員の6割に相当する、1万9000人が受講した。

 実施にあたっては、支援センターが用意する「小売業者向け」の教材を使用。受講者は認知症の症状や行動の特性、またこれらに合わせた接客の仕方について、座学・ビデオ研修・質疑応答を通して学ぶ。

●当事者に「利用しづらさ」を聞く

 従業員が講座を受講することで、ヨーカ堂ではどのような効果が得られたのか。

 参加した従業員からは「声のかけ方や接する際の態度を教えてもらったことで、安心して接客ができるようになった」との声が上がっているという。また、「家族の介護でも参考になった」という声があるとのことで、従業員の私生活へのサポートにもつながっているようだ。

 店舗にとっても「地域との連携が深まっている」と担当者は話す。地域包括支援センターと連携する背景には、「困りごとが起きたときの相談」など、センターと日常的に協力できる関係を築く狙いもあるという。

 同講座から派生して生まれた取り組みもある。

 イトーヨーカドー八王子店(東京都八王子市)では、市内の認知症当事者に買い物のデモンストレーションを行ってもらう「練り歩き隊」の取り組みを2022年に実施。デモンストレーション後は、買い物する上で不便な点を当事者からヒアリングし、分かりにくい店内表示などを改めた。

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