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「昔ながらの名車風」なぜ人気? 自動車メーカーが“過去の遺産”を利用する理由

ITmedia ビジネスオンライン / 2025年1月31日 8時32分

●海外メーカーも“過去の遺産”を利用する傾向

 1990年代の終わり頃、フォルクスワーゲン(VW)が名車・タイプ1をモチーフにしたボディを、ゴルフのプラットフォームの上に載せたニュービートルをリリースすると、たちまち人気モデルとなった。これはデザイン性が高いだけで、実用性や取り回しは決して優れていなかったが、長い間人気を博した。

 最近ではEVで、タイプ2バスをモチーフにしたID.Buzzを発売。EVの受注の7割を占めるほどの人気を集めている。

 VWのニュービートルと同じ頃、ローバー・ミニはBMWミニとしてブランドを継承し、デザインのテイストや乗り味にミニらしさを感じさせるクルマとして再構築した。さすがに最近はモデルチェンジごとに元のイメージは希薄になり、「ミニとは何ぞや」という気もしてくるが、デザイナーも伝統と新しさの融合に苦労しているのであろう。

 米国車でも、クライスラーが1950年代のクラシックカーのテイストを盛り込んだPTクルーザーをダッジブランドで販売した実績があり、かつてのマッスルカー(大排気量でパワフルなモデル)を再現したダッジ・チャレンジャーなどがマニアには人気を博している。

 フォードは、マスタングを初代モデルに先祖返りさせたようなデザインに改めた結果、大ヒットした。現在のモデルもそのテイストを受け継いでいる。日本ではフォードが撤退してしまったため並行輸入されるにとどまるが、根強い人気を誇る。ゼネラルモーターズもシボレー・カマロを初代のイメージにモデルチェンジして人気を取り戻した感がある。

●ヒョンデのINSTERはスマッシュヒットとなるか

 韓国のヒョンデは今年の東京オートサロンで、アイオニック5Nをモディファイしただけでなく、新型車としてコンパクトSUVのINSTER(インスター)を披露した。これは価格も手頃なEVで、航続距離も十分にあり、なおかつ角を丸めたスタイリングと丸型ヘッドライトをイメージしたフロントマスクが何ともかわいらしい。これは女性ユーザーの人気を集めそうだと感じた。

 スズキはワゴンRスマイル、アルトラパン、ハスラー、ジムニーといったモデルで丸型ヘッドライトを採用したレトロ調のデザインを取り入れて人気を集めている。ダイハツはムーブキャンパスを2代にわたって販売してきたが、現在はレトロ調のモデルは一区切り付けた印象だ。

 そもそも丸型ヘッドライトが廃止されていったのは、空気抵抗を軽減するためにフロントマスクを薄く低くするためだった。それが技術革新により、個性的なデザインや丸いライトを盛り込みながら、燃費性能も高める仕立てが可能になったのだ。

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