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「対話型」だけじゃない生成AIのポテンシャルとは 富士通が取り組む「特化型生成AI」から探る

ITmedia エンタープライズ / 2024年6月11日 7時0分

「対話型」だけじゃない生成AIのポテンシャルとは 富士通が取り組む「特化型生成AI」から探る

左から富士通の園田氏、岡本氏、新庄氏

 企業では生成AIをどう活用するかが、業務の生産性向上やビジネスの競争力強化に向けて重要な取り組みになっている。最近、「ChatGPT」に代表される汎用のLLM(大規模言語モデル)を基盤とした「対話型モデル」だけでなく、企業のさまざまな業務を支援する「特化型モデル」の開発が活発だ。特化型モデルの技術や市場性におけるポテンシャルはどれほどのものなのか。

 そんな疑問を抱いていたところ、富士通が2024年6月4日に開いた研究戦略説明会でその回答ともいえる話を聞くことができたので、今回は「特化型生成AI」のポテンシャルについて考察したい。

●「エンタープライズ生成AIフレームワーク」とは

 会見で説明役を務めたのは、富士通 執行役員EVPで富士通研究所所長の岡本青史氏、富士通研究所 人工知能研究所長の園田俊浩氏、同 先端技術開発本部長の新庄直樹氏だ。

 岡本氏は富士通の研究戦略として「現在注力している5つの技術領域を、AIを軸として融合させて富士通ならではの新しい価値を創出し、サステナブルな社会の構築に貢献していきたい」と力を込めた(図1)。

 会見および展示会ではそれぞれの技術領域についての説明があったが、本稿では同社が今回の会見に合わせて発表した「エンタープライズ生成AIフレームワーク」に注目する。これは、企業ニーズに対応した特化型生成AIを自動生成できる仕組みで、同社は「世界初の技術」としている。

 この新たな仕組みについて説明した園田氏は、まず生成AIの技術動向として、今後はLLMだけでなく、「SLM」(小中規模言語モデル)が特化型モデルとして広く利用されるようになるとの見方を示した(図2)。

 エンタープライズ生成AIフレームワークはそのニーズに応えるもので、このほど開発を終え、2024年7月から同社のAIサービス「Fujitsu Kozuchi」のラインアップとして順次提供を開始する。

 これまで生成AIの企業利用においては、「企業で必要とされる大規模データの取り扱いが困難」「生成AIがコストや応答速度をはじめとする多様な要件を満たせない」「企業規則や法令への準拠が求められる」といった課題があった。

 同社は、これらの課題を解決する企業向けの特化型生成AIを強化するため、企業が保有する大規模データの関係性をナレッジグラフでひも付けて生成AIへの入力データを高度化する「ナレッジグラフ拡張RAG」、入力タスクに応じて複数の特化型生成AIモデルから最も高い性能が出るモデルを選択あるいは複数組み合わせて自動生成する「生成AI混合技術」、法令や企業規則に準拠した説明可能な出力をする「生成AI監査技術」で構成するエンタープライズ生成AIフレームワークを開発した形だ。

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