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日立の「人手不足を生成AIで解消する」発言から改めて問う、“何のために生成AIを使うのか?”

ITmedia エンタープライズ / 2024年9月9日 17時30分

 図3が、日立の生成AIの取り組みにおける全体像だ。吉田氏によると、「ここ1年ほどに発信したニュースリリースの内容をプロットしたもの」とのことだ。図の見方としては、左側に記された従来の取り組みを基に、下段から見て、パートナリングと独自技術を組み合わせた生成AIを、CoE(Center of Excellence)の役割を担うGenerative AIセンターによって活用推進する。それとともに、社内のユースケースを一元的に管理し、その上位のプラットフォームやツール・ソリューション、サービスといった社外に向けたビジネスに生かすというものだ。

 図3の構図は、生成AIのユーザーでベンダーでもある日立の取り組みの概要を示している。同様に、今後はどの企業も生成AIの活用で両方の顔を持つ可能性がある。その際にはCoEの存在がキーになる。その意味で、日立の取り組みは参考になるだろう。

●生成AIをマンパワーと捉えるべきではないか

 これまで幾度か使ってきたキーワードの「ナレッジ」に注目すると、日立はどのような業務における生成AIのやり取りをナレッジとして蓄積しているのか。それを示したのが、図4だ。

 縦軸は情報、社会、制御という分類で、横軸は企画提案から保守作業まで一連の工程の流れとなっており、それらをカバーした範囲での業務内容が記されている。これらはすなわち、生成AIの適用効果が見込まれる業務であり、ナレッジ蓄積のユースケースと捉えることもできよう。

 そして、生成AIに対する期待の高まりとして、これまでとこれからの違いを図5に示した。

 その違いは、これまでは生成AIへの期待として「生産性の向上」「業務の効率化」が挙げられ、それに対しては「汎用知識を広く学習した汎用LLMの利用」が適切だった。しかし、これからは「人手不足の解消」「技能継承の実現」「競争力の強化」が求められるようになる。それに対して、同社は「それぞれの業務に合わせた業務特化型LLMの構築」が必要となるとしている。

 人手不足の観点から、これまでも汎用LLMをベースとした生成AIモデルによって生産性の向上や業務の効率化が図れたことから解消に寄与したところもあるだろうが、これからは自社のナレッジの継承や自社データ利用で競争力の向上を図れる業務特化型LLMをベースとした生成AIモデルの方が、解消をさらに進められるとの主張とも見て取れる。

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