ソフトバンクのモバイル事業、官製不況を脱し増収増益に 宮川社長「本当に胃が痛い2年半」と振り返る
ITmedia Mobile / 2024年5月10日 16時57分
モバイル事業では5Gネットワークが前年比2万局増の8.5万局まで拡大し、5G人口カバー率が95%を超えた。5Gの利用率も40%以上の向上となったが、現状は4Gの転用が主力。5G SAの早期拡大を図るために、KDDIと協業して5G JAPANを設立したソフトバンクは、アンテナ、無線機、伝送路を共用として3.8万局以上を構築。CAPEXの削減効果は450億円以上に達したという。
これが成功したことから、地方都市の5Gのみという協業範囲をさらに拡大し、全国で4Gと5Gの基地局を共同構築することにした。2030年には累計で10万局、CAPEX削減効果1200億円を目指す計画だ。
この5G JAPANは、2020年にスペイン・バルセロナから帰国する際に田中孝司KDDI会長と同じ部屋になり、そこで「5Gへの投資は(従来と)桁違いになる」という話になったという。両社のユーザー数やカバーすべき国土の広さを考えると、エリア構築に苦戦するという認識で一致した。さらに携帯料金値下げが話し合いを加速させて5G JAPANへとつながったそうだ。
現状は10万局を目指すが、「全然足りない」と宮川社長。5Gに続く6Gはさらに基地局が必要になると予想され、こうした取り組みはさらに拡大していく見込みだ。なお、他に楽天モバイルやNTTドコモが5G JAPANに参加したいという場合「ウエルカムだが、簡単ではない」という。両社がこれまで協議して取りまとめた仕組みのため、参加する場合は同様の議論が必要で、「時間はかかるが議論を進めることは可能」というのが宮川社長の判断だ。
エンタープライズ事業も中期経営計画の目標通り、売上高、営業利益ともに前年比2桁成長となるそれぞれ16%増、13%増を達成。今後も継続して拡大を目指す。
●PayPayは2023年度に大幅な赤字縮小、金融事業は24年度に黒字化へ
LINEヤフーによるメディア・EC事業は、営業利益が24%増となるなど順調に成長。ただ、懸案となっているセキュリティガバナンスの取り組みの解決が見通せない状況だ。総務省からは韓国NAVERとの資本関係見直しも視野に対応が求められ、LINEヤフーの親会社となるソフトバンクとNAVERのトップ会談も続けられているというが、総務省への報告書提出期限である7月1日までに結論に達するのは「直感から言うと非常に難易度が高い」(宮川社長)との見込みで、今後も協議を継続していく。
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