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ソフトバンク宮川社長が語る“ahamo対抗”の真意 純増だけを追わず、「ペイトク」プラン改定も検討

ITmedia Mobile / 2024年11月8日 22時23分

ソフトバンク宮川社長が語る“ahamo対抗”の真意 純増だけを追わず、「ペイトク」プラン改定も検討

初の開示となったY!mobileからソフトバンクブランドへの移行収支。値下げ後初のプラスとなった

 「本当は動くか動かないか考えていた」――。ソフトバンクの宮川潤一社長は11月8日の2025年3月期第2四半期決算説明会で、ドコモのahamo対抗について、こう切り出した。結局は「ちょっと耐えきれなくて動きました」と率直に語り、11月1日からY!mobile(ワイモバイル)、LINEMOの料金プランを刷新する判断を下した形だ。

 ただし、宮川社長は過度な料金競争への強い懸念も示した。行き過ぎた値下げは中長期的に本当に良いのかと問いかけ、物価上昇の中で通信料金だけが下がり続ける状況に疑問を投げかけた。「われわれにも取引先や社員がいる」と業界全体の持続可能性を案じる。どこかで動きがあれば他社も追随せざるを得ない状況は続くとしながらも、際限のない値下げ競争への警鐘を鳴らした格好だ。

 この対抗策を打ち出すまでの社内の様子も明かした。「毎日の日報で数字が上がってこないので『どうしたんだ』と聞いたら『うちだけahamoに対抗していません』と言われた」という。最終的には対抗策実施を決断したものの、「売られたケンカは買う」という表現からは、必ずしも積極的な値下げ競争を望んでいない姿勢がにじむ。

●「純増だけを追わない」宣言、戦略の転換鮮明に

 宮川社長は「もはや純増だけを追いかける経営ではない」と、戦略の転換も明確に打ち出した。今後は「動かないマーケットを無理にこじ開けるのではなく、ARPUの向上を追っかけたい」という。これは、他社からの乗り換え(MNP)による新規契約獲得を競うだけでなく、1契約あたりの平均収入(ARPU)を向上させることで全体の売り上げ増を目指す方針だ。

 とはいえ、純増目標を完全に放棄するわけではない。2024年度は純増数100万件前後での着地を見込んでおり、来期以降も100万件という目線は維持する考えだ。ただし「動かないマーケットを無理にこじ開けに行くのではなく、ARPUの向上につながるような投資を優先したい」(宮川社長)としている。

 この戦略は既に成果も見え始めている。Y!mobileからソフトバンクブランドへの移行収支が上期として初めてプラスに転じた。同社は2023年度から投入した「ペイトク」プランを軸に、両ブランド間のすみ分けを進めてきた。容量無制限という魅力がある一方で、PayPay還元というお得の訴求もあり、両方のニーズから新規ユーザーを獲得しているという。これらの取り組みの一環として、ペイトクプランのリニューアルも検討しているといい、時期を問われると「ちょっとナイショです」と笑顔で答えた。宮川社長は、こうした施策を今期下期から順次開始する考えを示した。

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