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Pixelのデザインは製品化まで約2年を要する――Googleデザイナーが語る哲学 国立新美術館で特別展示も

ITmedia Mobile / 2024年12月11日 12時16分

 Pixelのデザインは、構想から製品化まで約2年を要する。「最初の3カ月ぐらいで基本的な方向性を決め、その後1年ほど設計とのやりとりを重ね、最後は量産準備に入ります」と松岡氏は説明する。この工程は構想に5%、設計者とのやりとりに90%、工場での品質管理に5%という配分で進んでいく。

 デザインの特徴的な要素である丸みのある形状について、松岡氏は「水の表面張力のような、自然な丸みを意識しています。まるで手作業で滑らかに削り出したような、そんな曲線を追求しているんです」と語る。1つの形状を決めるために約30種類ものバリエーションを作り、社内の3Dプリンタで実際のモックアップを製作。チーム全体で検討を重ねながら、最も心地よい曲線を選んでいくという。

 その丸みへのこだわりは、時に社内での議論も生む。「端末の角を丸くすることで、画面上で表示できる情報量が制限されてしまうため、ソフトウェアチームとはよく議論になります」と松岡氏は笑う。「アイコンを表示するスペースが少なくなってしまうと言われるのですが、それでも私たちはあえて丸みのあるデザインを選択しています」

●デザインは3年周期で見直し Pixel 9がその転換点に

 また、Googleは製品デザインを約3年周期で大きく見直すという。「カメラやディスプレイなどの技術は、毎年新しいものが出るわけではありません。3年ぐらい熟成しないといいものが出ないんです」と松岡氏は説明する。Pixel 8までは似たデザインラインを踏襲してきたが、Pixel 9シリーズはその転換点にあるという。

 テクノロジーの進化を受け入れながら、いかにPixelらしいデザインを実現するか。それが現在のデザインチームが向き合う重要なテーマとなっている。

 そして、デザインの進化は色彩表現にも及んでいる。「これまでのミニマルなデザインを追求してきたPixelですが、今回のカラー展開ではよりマキシマリスティック(※)な表現へとかじを切り始めています」とレンデリー氏は語る。

 Pixel 9シリーズでは、標準モデルのPixel 9にPeony(ピオニー)を、ハイエンドモデルのPixel 9 ProにRose Quartz(ローズクオーツ)という系統の違うピンクを採用している。

 「ピオニーは、とても大胆で、エッジの効いた、明るく遊び心のある色です。自信に満ちたピンクであり、より柔らかで上品なローズクオーツによって美しく補完されています。ローズクオーツには控えめながら甘さのヒントも残されているんです」とレンデリー氏は説明する。

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