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幼少期ポケモンにハマってた人は「ポケモン特有の脳活動」に成長 米国チームによる2019年の研究報告

ITmedia NEWS / 2024年6月3日 8時5分

幼少期ポケモンにハマってた人は「ポケモン特有の脳活動」に成長 米国チームによる2019年の研究報告

幼少期にポケモンにハマっていた人は「ポケモン特有の脳活動」に育っていた

 米スタンフォード大学や米UCバークレー、米ペンシルベニア大学に所属する研究者らが2019年に発表した論文「Extensive childhood experience with Pokemon suggests eccentricity drives organization of visual cortex」は、幼少期にポケモン(ポケットモンスター)に熱中していたことが、成人してから脳の機能的構造にどのような影響を与えているかを調べた研究報告である。

 この研究は、5歳~8歳ごろに大量のポケモンを見た経験を持つポケモン経験者11人(平均年齢24.3歳、男性8人、女性3人)と、これまでポケモンのゲームをプレイしたことがないポケモン未経験者11人(平均年齢29.5歳、男性4人、女性7人)を対象に実施。参加者たちには、8つのカテゴリー(顔、体、ポケモン、動物、漫画、単語、車、廊下)の画像を見せ、その際の脳活動をfMRIでスキャンした。

 解析の結果、ポケモン経験者はポケモン未経験者に比べて腹側側頭皮質(VTC)でポケモンに対して明確で再現性のある反応パターンを示すことが明らかになった。VTCは視覚処理において重要な役割を果たす脳の領域である。つまりポケモン経験者全員が、VTCにポケモンを識別するための特有の脳活動パターンを形成していたのだ。

 また、ポケモン経験者の視覚野の反応パターンは、他のカテゴリー(顔、動物、体など)に対する反応パターンとは明確に異なっていた。これは、ポケモンが視覚野において独自のカテゴリーとして表現されていることを意味する。

 一方、未経験者ではポケモンに対する反応パターンは他のカテゴリーと区別できなかった。この結果から、長期的にポケモンを見た経験が、視覚野にポケモン特有の情報表現を作り出したと考えられる。

 さらに、機械学習を用いて視覚野の活動パターンからポケモンを識別できるかを調べたところ、ポケモン経験者の方が未経験者よりも高い精度でポケモンを識別できることが分かった。この結果は、ポケモン経験者の視覚野にポケモンに関する情報がより多く、明確に表現されていることを示唆している。

 最後に、研究チームはポケモン経験者における視覚野の反応位置を分析した。結果、その位置が子供のころにポケモンをプレイしていた際の網膜偏心度(目の視線の中心からどれだけ離れているかを示す尺度)と関連していることが分かった。これは、幼少期の視覚経験の特性(ポケモンをどの位置で見ていたか)が大人になってからの視覚野の反応位置に影響を与えることを示している。

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